久しぶりに観ました、この映画”Wild At Heart"

ワイルド・アット・ハート [DVD]/ニコラス・ケイジ,ローラ・ダーン,ウィレム・デフォー

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大好きな監督David Lynchによる1990年の映画です。
もう20年も経ったのか。。。
David Lynchの映画にしては分かりやすいロードムービーです。

自由を象徴するという蛇革のジャケットを着るセーラ。
父親を亡くし母親の執拗な追跡を受けるルーラ。

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セーラが刑務所を保釈となりルーラと共にカリフォルニアに向かいます。
前半はひたすら暴力とセックス、Rock。David Lynchの暴力描写は凄まじいですよ。

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二人が旅を続けるなかでルーラが運転をしていてラジオから流れるのが、
人が死んだニュースばかりで「こんなの聞いてられない!」と言ってキレてしまい、
セーラが「どうした!?」と尋ねると「Rockにして」と言ってラジオをRockにして
2人で奇妙なダンスを踊りますが、ルーラはそんな繊細な面も持つ20歳の女の子。

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当然、David Lynchの映画なのでセーラに向けて暗殺者が放たれるという話しを主軸に、
奇妙な出来事、不思議な人達が沢山でてきます。そして悲しい過去も。
ルーラは13歳の時にレイプをされています。

二人の旅は様々な暴力と悲しみに溢れ、ある小さな街に着きます。
そこで出会うのはウィリアム・デフォー。
私、思うんですけど一時期のアル・パチーノが過剰な演技と批判されますよね。
この映画で「パチーノ」というキャラクターが出てきて、あの目を見開いた演技を
真似てからかいます。相当ブラックですけど爆笑の映画ですよ。
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でもね、演技が過剰なのはウィリアム・デフォー。Wild At Heartで上手く下品な
男を演じていますけどね。もう処刑人なんて恥ずかしくなっちゃうでしょ観てて。
同じぶっ飛んでる刑事ならLeonのゲーリ・オールドマンの方が全然いっちゃってますよね。

話しを戻しますがWild At Heatは「OZ」へのオマージュでもあります。
ルーラを悩ませ同時にセーラに暗殺者を放つのは東の悪い魔女。
そしてルーラはある出来事で深い悲しみを受けるのですが、
その時にセーラの名を呼びながら救いを求めて靴の踵を3回鳴らします。
そして自分たちの旅に対してもイエロー・ブリック・ロードという言葉を使います。

これだけ暴力に溢れた作品なのにベースになっているのはOZなんです。
セーラは映画の冒頭で人を殴り殺します。そして繰り返しますが過剰な暴力。
おとぎ話と荒んだ現実世界で苦しむ人を絡めた映画なんです、Wild At Heartは。
そしてローラは嘆くのです「This Whole World is wild at heart...and weird on top」と。
そして願います。「I wish you'd sing me "Love me tender"」
「Oh,I wish I was somewhere over that Rainbow」と慟哭しながら。
そして「it's just shit!shit,shit,shit!」と泣き崩れます。
このルーラの心境って普段生活している中で誰もが感じる事ではないでしょうか。
そしてルーラの様に泣き崩れていないでしょうか、shit!と叫びながら。

セーラはこの状況を打破する為に誤った道を選んでしまい再び
刑務所に行くことになります。刑期は6年近いのかな。
そして出所後、6年セーラに手紙を送り待ち続けていたルーラに会うのですが、
セーラを愛しているルーラの願いに反して一緒に行くのは無理だと別れてしまいます。

その時に出会うんです。良い魔女に!!以前のブログでは天使と書いてしまいましたね。
すみません、前回観たのはだいぶ前なので忘れていました。
デビッド・リンチ/Diorのフィルム

刑務所を出てルーラと一緒になるのは無理だと言うセーラに良い魔女は、ルーラが全てを
許している事と伝えます。それに対してセーラは「But I'm wild at heart」と答えます。
すると良い魔女は言うのです。「If you are truly wild at heart,you'll fight for your dreams」と。

誰しもが、この世の中はWild at heartだと感じ自分自身の心もWild at heratだと
感じる時があるとおもいます。でも、良い魔女の答えは If you are truly wild at heart,
you'll fight for your dreams」なんですね。

「デビッド・リンチ/Dior」のブログでも書きましたが、ここで突然「天使」が出てくるのは
いかにもアメリカで短絡的だというレビューがキネマ旬報にありましたが、
しっかりストーリーに繋がってると思うんだよな。

ルーラが「This Whole World is wild at heart」と慟哭した時に願ったことを
セーラは叶えてあげます。デビッド・リンチにしては珍しく明確なハッピーエンドです。

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私も良い魔女の言葉を覚えておこう。このWild at heartな世の中で、
「 If you are truly wild at heart,you'll fight for your dreams」