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さやみる小説館

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今年も夏が来た
“昨年より少しだけ暑い日が多くなる”ってテレビで言っていた。
待ちに待った夏。
私は夏が1番大好き。
そんなことを言えば大概の人は
『誕生日があるからやろー』とか
『甲子園があるからや!』なんて。

ガキじゃあるまいし。
そんな理由なら春も好きである。
春休みがあるし
春にも甲子園や楽しみがある。


でもやっぱり夏が好きなんや。



『あんたら最後まで真反対やったな』

『あー。そう、やな』

『卒コンでは彩が泣くし
   卒公ではみるきーが泣くし』

『いや、卒コンみるきーも泣いてたからな?』

『え?終始笑顔やったやん!』

『ほんまにちゃんとみるきーのこと見てた?』

『目に焼き付けるように見てたけど?』

『じゃー、なんで泣いてることに気付かへんねん』

『彩が泣くからそれどころじゃないわ』

『矛盾してんで、岸野』



岸野が話しかけてくると
話題は必ずと言っていいほど
みるきーの話になる。
もうええやろうと思うのに
岸野は飽きないのか相変わらず
彼女の話に花を咲かせる。


『ぶっこんでいい?』

『やめて』

『ずっと気になってたんやけど…』

『…んやねんっ』

『彩とみるきーって付き合ってるん?』

『なんや…そんなことか』

『そんなことって。
   なんや、やっぱり付き合ってへんのか
   あーぁ…つまんねぇ』



“彩とみるきーって付き合ってるん?”

そんなに気になることか。
そりゃ確かにお互い避けてた時期もあったし逆に近すぎる時もあった。
彼女が卒業発表してからは
今までとは比べものにならないくらい側にいて思い出を残した。


でも…


『……別れた』

『は?今なんて…』

『だから別れた』

『え、付き合ってたん?
   知らんかったんやけど』

『あんたらに言ったらさわぐやろ』

『え、ちょどっちから告ったん?』

『…はぁー。』



やっぱり言うんじゃなかった。
うるさくてしゃーない。
もう別れたんやからそんなん知っても何の得もないわ。
いきなり岸野がそんな話をしてきたからせっかく心に終始部を打ったのに。
また、心臓の奥がギューッて締め付けられて訳もなく目頭が熱くなる。
ほら…こうなるのはわかってた。
わかってたのに私は
彼女の掌を握り返すことなく
振り払ってしまった。



『じゃー、なんで
   好き合ってのに別れたん?』

『さー。私が聞きたいわ。
   突然別れよって言われたんやし』

『それで彩は“わかった”って言ったん?
   みるきーへの想いって
   それまでやったん?
   やのに付き合ってたんや
   そんなんみるきーが可哀想や』


ドンッ!!


『うっさいなっ!』


全部私が悪いのは知ってる。
やけど人から言われたら
なぜかムカついてしまって
机を叩いて大声を上げてしまったのは
メンバーが私を見ていたとわかってから気づいた。


『っ、、』

『わかってるわ!
   でも別れるしかなかったんや!
   今でも好きやわ。』

『じゃ、別れんなやっ』

『私も最初は別れたくないってせがんだ
   やけど、あいつは
   “恋愛禁止やろ?ちゃんと守らな”って
   そんなん言われたら別れるしかないやん』

『………』



なぜかこんな状況でも少しだけ冷静な自分がいる。
岸野に言われて再確認した。
やっぱり私はまだ彼女が好きやと。



『“ずっと一緒やで”って言ってたくせに
   突然別れ切り出して
   別々の道に歩き出したのに。
   まだこんなに好きやねん
   世間一般では未練タラタラってやつ?
   ハハッ…笑えるわ』

『『『………』』』


もう二度と戻れへん。
あんなに幸せやと思えた日々が
輝いてた日々が薄れていく。


『私に向けて笑ってくれる笑顔が…
   触れてくれることも
   なんか…全部夢みたい。』

『さや姉ちゃんとみるきーのこと
   好きやったんやな』

『好きじゃなかったら付き合ってへんよ』



大好きやったからこそ
今も彼女を思い出しては


『もしもあの時別れなければって。
   失ってから気付くんじゃ遅いのにな』


『ちゃんと想ってくれてるのみるきーも知ってるやろな』

『だからこそ別れを選んだんちゃう?』



メンバーが次々に質問してくる
そんなん私に聞かれてもわからん。
ちゃんと愛を伝えてたけど
彼女に届いてたのかもわからへん。
やけど別れる決断になったんじゃないかと思う言葉がある。



『別れ際に言われたのは
   “彩ちゃんの夢を邪魔したくない”って。別に邪魔にならへんのに。
なんなら支えてくれる人がいると助かるのにな』

『尚更別れる理由なんかないやん』

『あいつが途中で意思変えるようなやつじゃないのはみんな知ってるやろ?』

『まぁ。』

『別に嫌いになって別れたんじゃないから。』



嫌いになんてならない。
なんなら日に日に思いは強くなって募っていくばかり。
誰かにこの気持ちを止めて欲しいけど止めて欲しくない。
こんなに人を好きになったのは初めてで。
初めてだからこそ大事にしたい。



『別れるから
   卒業発表してから
   あんなに一緒にいたん?』

『別れたのはつい最近。
   ただ普通にあの人と
   一生忘れることのない
   思い出を作りたかってん。』

『深いな。』

『…。空気重いわっ。
   この話はおーわり!
   私とみるきーは別れた。
   私はまだみるきーが好き。
   未練タラタラ。
   弄りたい人がいれば弄ってくれてもええよー』


そう言って収録までの間
彼女のことを想って曲でも作ろうと
ギターを持って楽屋を出た。


私が夏が好きな理由は
彼女との一生忘れない思い出がたくさんあるから。


『大好きやったよ…違うな。
   今でも大好きやで。




   さようなら…』