『遅い』
『えー、これでも
急いだ方なんやけど』
『……遅い』
『ごめん』
『別に謝らんでもええ』
『ぅん』
何時もよりも
比べものに
ならへくらい急いで
教室から出たのに
校門にはすでに
彩ちゃんが立っていた
早すぎやろ……
『なぁ…』
『んー?』
『何があったか聞かへんの?』
『へっ?』
『会わへんかった
間に何があったか聞かへんの?』
『彩ちゃんが
言ってくれるなら
何時でも聞くし
言いたくないなら
聞かへんよ』
『………』
『私は待ってるよ』
『今日暇?』
『ぅん』
『私の家来て』
『えっ、、いいの?』
『ぅん』
彩ちゃんが
私を呼んでくれるなんて
何時ぶりやろ
昔は毎日のように
お互いの部屋を
窓から行き来してたのを
思い出す
でも彩ちゃんが
いなくなった3年からは
隣の家は
誰もいなくなって
寂しかったのを覚えてる
『…彩ちゃん』
『…ん?』
『インハイ目指すんやろ?』
『なんで知ってるん?』
『けいっちから聞いた』
『……あいつ。
まぁええわ』
『頑張ってな!』
『あぁ』
『めっちゃ強かったな
全部圧勝やったん』
『上西がチームに
いるんやから当たり前やん』
『自信満々やん』
『そりゃ……っ⁉︎』
『彩ちゃん?』
急に喋らなくなった
彩ちゃん
前を見て
ひたすらに目を
見開いている
私らの目の前にいるのは
彩ちゃんと同い年位の女の人
『……なんで』
(よー、彩)
『っ、、、』
(久しぶりやな
1年ぶりかな?)
目の前にいた女の人は
そのまま私らの
前まで来て
彩ちゃんと喋り出した
正確に言えば
彩ちゃんは唇を
噛み締めて
拳を握ってる
女の人は1人で
喋ってる
(後輩から聞いたは
今日バイトやったんやって?
試合には出えへんはず
やったんちゃうん?
練習だけやろ?)
『くっ、、、
森下……』
(お前は努力しても
無駄やねん
あの時みたいにやられたい?
今回で3回目やで)
『もぅ…お前の
言いなりにはならん
私は約束したんや
インハイで優勝するって』
(その約束は
もう果たしたやろ?)
『せやな……
でもバスケしてるところ
輝いてる姿を
もう一回見て欲しい
だからもう森下には
負けへん』
(そっか……
どうなっても
知らんからな?
……やれ)
何処からか
ガラの悪い人たちが
数人出てきた
中には鉄パイプを
持った人もいて
すぐに危ない状況やって
わかった
『美優紀…逃げろ』
『いややっ』
『いいから!
全力で家まで走れ』
『彩ちゃんが危ないっ』
『私のことはええから』
『っ、、、』
(とっととやれっ!)
彩ちゃんが
殴られて、蹴られて、
地面に転がされてる
私はそんな彩ちゃんの
姿を見て何も出来ひんかった
(おっらぁぁああっ)
『あぁっ、、、っ、、、ってぇ』
(金寄越せよ)
『ないっ、、、』
(あるやろっ!)
顔は傷だらけで
血が出ている
制服は汚れていて
彩ちゃんはもう
されるがままやった
殴られてるのに
何も出来ひん自分が
憎く思った
彩ちゃんは
お金まで取り上げられてて
財布の中から
鞄の中から
全て探されて
全て取られていた
『もうやめてください!
彩ちゃんは
これからまた
頑張っていくんですっ
邪魔しないでください!』
(はぁぁぁあああ?
なんや姉ちゃん)
(その子も彩と
同じようにしたれ)
『やめ、、ろっ
美優紀は、、
かんけ、、、い
ないやろっ』
(やれ)
バチンッ
『痛っ、、』
男の腕が
伸びてきたと
思ったらそのまま
私の頬が打たれた
痛くてそのままの
勢いで倒れた
『ふざけんなっ‼︎
美優紀に手出すなや!』
ボロボロになって
ちゃんと喋れへんかった
彩ちゃんが立ち上がって
怒ってる…
美優紀に手出すなや、やって
私ちゃんと
彩ちゃんの中で
ある存在になってたんや……
『お前らの未来無くすぞ』
今までに聞いたことのない
低い声が聞こえてくる
めっちゃ怒ってるやん
私なら大丈夫やで、彩ちゃん
『帰れ……
殴りたいなら
好きなだけ殴ったらええ
けど美優紀が
おらん時にしろ
私1人の時に殴りに来い
卑怯な真似すんな』
(……シャーないな
また来るわ、彩)
そう言うと
そのまま帰って行った