「だーかーら。絶対に好意は持たれたから。」

俺は半場諦め状態でゲングに言い聞かせた。



最初に紗英ちゃんの赤ら顔を見て以来、俺は妙な興奮を覚えたが、(多分、ゲングに早く伝えてやりたかったからだ)

20分間同じ話ばかりしているといい加減冷めてくる。




俺の知っている限り、ゲングのあの笑顔で落ちなかった女はいない。

この仏頂面とあの笑顔のギャップが良いらしい。


"天然の女たらし"とは、コイツのことかもしれない。



あの後、真衣達は授業があるとかで出て行ってしまったが、俺達はまだ無い。


未だにガランとした教室は寂しいけど、今は好都合。

熱弁をふっても周りが気にならない。




「…なぁ。お前って、この時間"化学"の授業取ってたよな?」



あれ?お前、俺の話聞いてた?

てぐらいに、ゲングが口に出した言葉は、さっきの話と全く関係なかった。





俺は女の前では、かなりの嘘吐きで良い顔ばかりしている。


中学から一緒に居るゲングにしてみれば、「俺の為に嘘をついている」と疑られても仕方がない。



今回は本当にしろ、俺は何度かゲングを騙して女と遊びに行かせた事がある。


女に免疫を付ける為だったが……紗英ちゃんとの様子を見る限り免疫など付いていないようだ。

いや…、これは別問題か?




「俺は一時間くらいサボっても大丈夫。」


「だから気にせず、話を聞け。」と言う俺に対して、ゲングは「分かった。」と嫌そうな返事。




「だからあの時な…」


俺が再び説明し始めたところで、ゲングの視点が変わった。


やっぱり聞いてない。と言おうとした俺は口を噤んだ。





紗英ちゃんが俺たちの方に歩いてきている。



「あの……ゲング君。
ちょっと良い?」

俺たちに射すくめられて、怯えた様子で彼女は問う。




よっしゃー。
俺の読みは合ってたか!!

と思う俺に対して、張本人はぼう然面。


まさか自分が話しかけれるなんて思ってもみなかったらしい。



「どうぞ、どうぞ。
コイツ暇だからさ。」

代わりに俺が答えてやると、ゲングは状況を理解したのかウンウン。と頷いた。


え。何その、可愛い動作。
俺、始めてみたんだけどさぁ、ゲング…




紗英ちゃんも、ゲングの違いに戸惑いつつ「有難う。」と言って、二人で廊下に出て行った。












<center><font size=3 color=#4682B4>さて、俺はどうしようか</font></center>