アマチュアクリエイターが自分の作品に金銭的な価値を付加することに対して、否定的に考えておられるケースを時々見かけていました。
その時、その当事者に対してティスカッションをする場合もあったにはあったのですが、なかなかうまく交流出来ない事があるわけです。まぁ自己主張が強いが故、クリエイティブな活動をされているケースも少なくないわけですから、なかなか他人の意見に対してオープンになれない場合もあるでしょう。
そんな方が、ふと他人の意見に耳を傾けてみよう…と思われた時のために、わたくしの考えるところを、ここに綴っておきたいと思います。
サラリーマンが定年までに得る賃金は、ざっくり1~3億円程度でしょうか。その半面、テレビなどで紹介されている派手な収入に1年で数億円だったり、ひとつの作品が数億円売れた…なんてお話を見かけることも少なく無いと思います。
もちろん、そうした成功者の収入や、売れた作品の売上と、個人の収入を比較するのはちょっと乱暴です。だって、成功者の向こう側には多くの従業員がいたり、売れた作品の向こう側には作品公開の裏側に多くの従事者が見え隠れするから。
サラリーマンが生涯に3億円を得るとして、その活動の中では、会社の中での分業が確立されているわけです。様々な部署があり、それぞれがそれぞれの得意分野でその作業に集中して会社に貢献しています。
その結果、月々のサラリーを受け取り生活をしているわけです。
しかし、その分業されたお仕事の中には、直接売上に関係のない部署もあるでしょう。例えば、人事、経理、その他諸々…。その半面、商品を製造する部署もあり、その製造された商品を売り歩く営業という部署があるわけです。
こうした製造や営業に従事されている方達は、直接売上に関係のない部署に従事されている方達の分まで作り、売る必要があります。だって、その代わりにその方達は帳簿のことや会社全体の人事について、集中して悩む必要がないのだから。
こうした部分は、規模の小さい個人事業者の方ならよく実感できると思います。そうした商売をされておられる方達は、これから大変な時期に突入(税金に関する処理)することでしょうから。
ところが、サラリーマンの方達は、それほど振り回されることがないわけです。それは、会社で処理をしてくれる部署があるおかげです。
どういった商品を扱う会社か、にもよるのでしょうが、おおよそ上記のように、持ちつ持たれつ、それぞれの部署がそれぞれのお仕事をこなすことで、会社が切り盛りされているわけです。
そして、各々が月々のサラリーを受け取る。
しかし、そのれらサラリーは、よほど恵まれた待遇を受けない限り、会社が大きく儲かった時の収益をサラリーに反映してもらうことは難しい。だって、そういう仕組だもの(笑)
ボーナスなどで業績による恩恵を受けられる場合もあるでしょうが、それでもそれ以上に会社にはお金の流れがあるはず。儲かった時も、損した時も。それが経営者との立場の違い。業績に振り回されることなく、ある程度、安定してお給料をもらえるわけです。その結果、定年するときには1~3億円を手にするわけです。40数年に分割して。
ここで、アマチュアを含めてクリエイターの場合を考えます。
どの程度のスキルなのかにもよりますが、自身をクリエイターだと認識されている場合、およそある程度の作品を製作できる程度にあると思います。
その場合、作品に対してほとんどの肯定を自分自身で行っているわけです。(ある程度の規模の大きさになると分業になっているでしょうが、ここではそれを除いてください)
工場で製造されている製品の場合、1から10までを1人で行う場合は少ないと重います。場合によっては下請けの工場に部品の製造を委託している場合もあるでしょう。
ところが、クリエイターはその材料の手配から製作までを1人で行う。これがどれほどすごいことか、ご本人は楽しんで行っている場合が多く、あまり自覚されていません。
せっかく、そこまですごいことをしているのに。
作品を創ることができる = 販売する商品を作ることができる
この等式が成立しているのであれば、あと少し、手を広げることで小規模ながら事業としてスタートすることが可能なわけです。
「手を広げる…」「そのあと少し…」がまた面倒なのは判ります。
商品を販売するための営業、売れれば、そのお金の管理をする為の経理、作品を買ってくれたファンとの交流を促すための顧客管理などなど。
会社という組織がそれらを専門の部署に分業するだけはあって、やはり大変な作業であることは間違いありません。
そこで、ウェブの出番です。
商品を販売するための営業をウェブサイトに。
ーECサイトを持たなくても、コンテンツ販売を代行してくれるサイトがある。
売上を管理するための経理をウェブサイトに。
ーネットバンクを連動すれば、お金の流れは明確になる。
ファンとの交流を促す顧客管理をウェブサイトに。
ーブログのコメント欄の他、メールマガジンなら連絡先を管理することができる。
その気になれば、ファン交流の為の専用SNSだって持てる。
極端な言い方をすれば、どれもウェブサイトの中で管理することが可能になる。
ちょっと手を伸ばせば、かなりの環境があなたのバソコンの中にある。
(ネットにつながっている必要はありますがw)
その多くが、お金をそれほどかけることなく手にすることができるわけです。それほどに環境は整ってきているのに、そのことを知らない人は手をこまねいている。
多くの分野の作品が、ある程度のクオリティを持つのであれば、もう一声、お金をかけることで出版できるカタチに整えることができるわけです。
音楽ならCDやDVD。
文学やまんが、絵画や写真なら本。
オブジェなどの形を持つ作品だって写真集にできる。
そのためには、多少のお金が必要。
せめて、それくらいのお金なら、作品を手にしてくださるファンの方にご協力を得ることをしても許されませんか?
なにも、いきいなりプロの作品と同等の値段を付ける必要はない。
まずは、原価にちょっぴり上乗せする程度の定価でいいじゃないですか。
その後、ある程度の部数を発注できるようになれば、1部あたりの単価を下げることが出来ます。その差は、クリエイターさんへの報酬としても怒られないと思います。
あなたがもし、ひとりで創作活動をされているのであれば、工場で多くに人が流れ作業で製造されている企業が扱う製品とちがって、あなたの作成した作品には、あなた以外のサラリーの為に課金する必要はない。
せめて、パッケージ化するためにかかった費用だけでも作品の値段とすればいい。
こうやってお金という潤滑剤をかませることでより広範囲の活動を行えるようになる。
知名度を持たない作品が売れないのは当然です。
しかし、だからといって自分の作品を安売りする事はない。
広報の為、アメリカの雑誌Wiredの元編集長クリス・アンダーソンさんが提唱された「FREE(フリー)」に 「ロングテール」を組み合わせることが、インターネットの中でなら、あなたにもできる…はず。
そんな恵まれた環境を、手に入れることができる時代になった事を知れば、あなたも自分の作品に、まずはちょっぴり課金することを再検討することができるのではないでしょうか?
冒頭で、会社組織について触れたのは、あなたの作品に金銭的価値を付ける時、大手出版社に頼らないのであれば、その作品の流通に携わる人は限られるのだから、お店に置かれている商品ほどの値段は付ける必要はないという事が伝えたかったのです。
だって、社員ひとりひとりがそれぞれ生涯に1~3億円を手にするということは、それ以上の売上を会社が得なければいけないのですから。
それ以上にかかるお金を商品の値段に盛り込まれている点を意識されれば、自分の作品に値段を付ける時に、身の丈(作品の質に対してではなく、作品の流通に携わる人の規模に対して)を踏まえた適正な価値を認識することができると思います。
当然のことですが、その作品に込められた情熱に値段を付けられない!という気持ちはわたくしも十二分に理解しているつもりであります。
その点は、今はちょっと、横に置かせて頂いて、あくまでも、作品が流通するためにかかる費用を作品の値段に置き換える…という考え方をして欲しい、という事です。
流通の規模を作品の値段に置き換える、という考え方がなかなか認めていただけないんだというのは、これまでの経験でよくわかります。この部分って主観的に判断するのが難しいわけです。だって、自分の情熱が注がれているんですものね。
ただ、ふとした瞬間にでも、客観的に考えてしただけるチャンスがあれば、今回のお話をご検討いただけるんじゃないかと思います。
作品の値段 =(イコール) 流通にかかる費用
であって、
作品の値段 ≠(ノットイコール) 作品に注がれた情熱の評価
ということ。
だって、あなたの作品は、きっとプライスレスってやつなんだと思います。