年に数回、モザンビークでの任地キリマネと日本を往復する生活をしております。
出入国の際、キリマネには国際空港がないので首都マプトの空港を経由することになりますが、このマプト空港がクセモノなんです。空港のトラブルと言えば荷物の紛失とか搭乗便の遅延が一般的ですが、マプト空港のトラブルは主に空港職員による種々のタカリとチョロマカシであります。
モザビから日本へ帰国する際のこと。
航空会社のカウンターでチェックインしたあとに出国監査を受けますが、その前にセキュリティ・チェックがあります。主に搭乗前の持ち物検査がその目的で、手荷物の中身をX線で透視し、搭乗者が不審な金属製品や液体を持っていないか探知機でチェックするんです。
私の手荷物は、いつも身に着けているウェストバッグと、パソコンなどの精密機械を入れたバッグだけです。どちらのバッグにも特に目を惹くようなものは入れないように気をつけています。
マプトの空港警察官が最も注意深くチェックするのは搭乗予定者の財布です。モザンビークには現地通貨紙幣の国外持ち出し厳禁というルールがあるそうで、500メティカルス(約925円)以上の紙幣を持っていると即座に没収されるんだそうです(コインはお咎めなしです)。
今までの経験ではほぼ毎回、チョロマカシ目的の警察官がバッグを開けて中身をチェックします。X線の透視で特に不審なものが見つからなくても、です。
既に10回以上もモザンビークの出入国を繰り返している私です。
「バッグノ中身ヲ見セロ」
という要求に驚くことも反抗することもせず、
あー、はいはい。
という感じで素直にバッグを開けます。警察官は財布を探り、紙幣を探します。
低額紙幣を数枚入れただけ(100メティほど)の私の薄い財布に意外そうな表情で、
「メティカル、モット持ッテルダロ?」
いえ、ありません。全部使いました。
「ホントニ?」
ええ、本当です。
そんなはずはない、絶対に持っているはずだ、と私のウェストバッグの隅から隅までくまなく探します。「メティカル紙幣国外持ち出し禁止令」という大義名分がありますから、極めて大っぴらにしつこく捜査します。多額の紙幣持ち出しが発覚したとしても別に送検されるわけではなく単に没収するだけなので、警察官にとっては「オイシイ捜査」なんです。
この間、モザンビーク人(と思われる)搭乗者が何人もお咎めなしのノー・チェックで通り過ぎて行きます。紙幣持ち出しを疑われるのは、どうも外国人搭乗者だけのようです。
結局紙幣は見つからず(絶対に見つからないように隠しているので当然ですが)放免されますが、毎回繰り返すこのプロセスが本当にめんどくさくて疲れます。実質的にはまだモザンビーク国内にいるにもかかわらず、セキュリティ・チェックをクリヤした時点で、すでに日本への帰路の半分以上をこなしたような気分になるほどです。
やれやれ。
出国監査も済ませてホッとしてトイレに行くと、掃除係のオバチャンが
「チップチョーダイ」
またも金銭の要求でありますが、この場合はなんとなく許せる気になって、ちょっと多めにコインを渡したりして。