クェクェは「雑草」を表すスワヒリ語です。
これは稗(ひえ)。

 

 

稲作というのは雑草との戦いみたいなもので、頻繁に除草をするほど収量は伸びます(もちろん限度はありますが)。

 

 

稗の生えた水田を遠くから見るとこんな風に見えます。すごい密生です。こんな光景、現代日本では絶対にお目にかかれません。日本では効果テキメンの除草剤が広く流通しており、移植後に一回散布すればその後はほとんど雑草が生えてこない、いわゆる「イッパツ系除草剤」なんていう魔法みたいなクスリもあって、すごく便利なんです。ですからどの水田を見ても稗なんて古典的な雑草、全然生えてない。

 

ケニヤでは農薬よりも人件費の方が安いので、もっぱら手取り除草です。
除草剤を使うにはコストがかかるだけでなく、散布後に一定の水位を保つ必要があるなど特別な管理法があり、灌漑設備があまり発達しておらず、加えて水田の多くが均平でない途上国では水位を一定に保つなんて至難の技で、農薬本来の効果を期待するのが難しかったりする。
ま、その方が化学農薬がもたらすであろう人体への悪影響なども心配せずに済むので安心です。

 

出穂前の稗は稲によく似た外見をしております。その違いは、ある部分に毛が生えているか、いないかだけ(と書くとどういうわけかちょっとエッチな雰囲気になってしまいますが)。茎と葉の境に毛が生えているのが稲で、毛が無いのが稗です。たったそれだけの違いなので、手取り除草のヒトを雇っても違いを見過ごして取り残してしまうことが多い。そのため収穫期まで水田に残ってしまう。
こうなると厄介です。実が熟すと水田に落ちて次作期に発芽して、どんどん繁殖していきます。

 

稲と一緒に収穫してしまうと脱穀されて稗の実がコメに混ざります。水を吸収しにくいので調理しても堅いままであることが多く、食味が悪くなる。咀嚼時に歯に当たるんです。小石が混ざっているようで、食事の際につらい感触を味わうことになります。

 

なので収穫前に稗抜きをします。ヒトを雇い、特に稗だけに的を絞って穂だけを刈り取ります。

 

 

刈り取られた稗の穂。すごい量です。水田の厄介者大集合。

私も一度にこんなにたくさんの稗を見るの、初めて。

 

 

しかしすぐに牛がやって来て、おいしそうにモリモリ食ってくれます。何度も反芻するギューちゃんたちにとってはご馳走でありましょう。
役に立たないヤツなんていないんだよね。