ケニヤの初代大統領はジョモ・ケニヤッタ。
ムゼー(おじいさん)の愛称で国民に親しまれた建国の父であり、現大統領ウフル・ケニヤッタの父親でもあります。
生前のある日。自宅で雇用している料理人に「郷土で生産される食材だけで、例えば庭にいる地鶏や自宅の畑でとれる野菜だけを使って、何かおいしい料理ができないか?」という宿題を出したのだそうです。
料理人はチキンを丸ごと煮込み、畑から収穫してきたスクマウィキ(ケール)、トマト、オニオン、ピリピリを追加。じっくりと加熱して野菜たっぷりのおいしいチキン・スープをこしらえたんだそうです。
これが大統領のお気に入りとなり、以降、頻繁に大統領一家の食卓に上るようになりました。
大統領の死後、故郷に帰った料理人はレストランを開きました。メイン・メニューは大統領お気に入りのチキン・スープ。これはうまい、と評判になり、料理人の名前をとって「クク・キベラ(キベラのチキン)」と呼ばれるようになりました。そのうち近隣の他の店でも真似をして似たような料理を供するようになり、クク・キベラはいつしか地域の名物料理となったのです。
ケニヤ人の同僚に場所を教わって、行ってきましたキベラ・クク・ジョイント。
オリジナルのクク・キベラが食べられる、言うなれば「キベラ本舗」であります。

お昼時はやはり地元のファンでにぎわう有名店。それでも行列作るほどではないです。
フルチキンは一羽分で1000シリング。スリー・クォーターズが750シリング、ハーフは500シリング、クォーターは250シリングと、とても分かりやすい値段になっています。
謙虚にハーフを注文すると、すぐに出てきたクク・キベラ。一緒にウガリもついてきます。

スープにはチキンからしみ出した油がコッテリと浮いており、それが他の食材にも絡んでおいしそうにコテコテと光っております。
アツアツのチキンに気を付けながら、手づかみで肉を骨からむしり取り、口に運びます。肉は柔らかく、その口当たりはどことなく麺類の滑らかさを思わせます。しかし噛むと、家禽でありながらもどこか野性的な味が口中を満たす、正しいケニヤのチキンであります。
長時間加熱されて何となくグッタリした具材の中、野菜らしい歯応えを残したスクマウィキとピリピリの辛みが作るコントラストが新鮮。
ときどき口にするウガリの優しい甘みが味覚をリフレッシュしてくれます。
これはうまい。次回はフルチキンを頼んじゃおう。