ラオスの社会では酒はかなり重要な位置にあり、酒を飲み交わす機会はものすごく多いです。何かというと酒が出てきます。酒が出ないとなにもかもが治まらない社会です。
ですから、酒を飲めないヒトには少々厳しい社会だと思います。
私がだいたい月1回ペースで赴くルアンナムターでは、出張中かなりの確率で酒宴に招かれます。
ビエンチャンでの宴会はどうってことないんですが、ルアンナムターでのパーティ出席はけっこうハード。過激なんです。きちんと比較していないので詳しくはわかりませんが、消費するアルコールの量がだいぶ多いような気がします。
それにルアンナムターへの出張には必ず宿泊が伴うので、酒宴に誘う側に「この日本人は今夜どうせ市内に泊まるんだからとことん飲ませても大丈夫」という意識がありありと見えるんです。
正直言って、できれば敬遠したいところなんですが、普段ビエンチャンで多用している「一旦帰社して片付けなくちゃいけない仕事がある」とか「終業後に早めに帰宅して家族と過ごす予定がある」とか、そういう言い訳が通用しません。最後までお付き合いすることになります。
さて、先日ルアンナムターへ出張した際、結婚式に招待されました(以前も書きましたが、こちらの結婚式は直前に招待されることが多いんです)。
出張時に出席する知り合いの結婚式。シコタマ呑まされる。これでもう今夜は泥酔することが決まったようなもんです。
赴いたのは家屋が建て込むタイダム族の農村。
村の広場はすでにお祭り状態です。設えられたステージからは大音量で音楽が響き、それを囲むように多くのテーブルと椅子が置かれています。
溢れかえる村人は飲めや歌えのドンチャン騒ぎ。
こういう集まりに参加するたびに感心しちゃうんですが、数百人の参加者が全員笑顔なんです。
みんな笑ってんの。
千顔万笑。
これほどの高密度で笑顔が集結している場所って、今この瞬間、地球上でここだけじゃないかと思えてしまうほど。
こんな幸せ高密度の中にいるんだもん、俺も ♪踊らにゃソンソン♪ だよな。
影響を受けやすい私です。それまでは少々憂鬱に感じていた酒宴参加なのに、会場のハイ・テンションの雰囲気に呑まれ、朱に交わって瞬時に赤く染まる。
「おー、よく来たなオマエひさしぶりじゃねーか」
などと初対面のオジサンに迎えられ、ラオラーオ(米焼酎)の駆けつけ3杯で一気に酔ってしまう。
多くのラオス人にとって外国人は一種の珍獣でありますから、酒宴の席にいるだけで人気者。いろんなヒトに「こっち来て一緒に飲もう」と誘われ、「あっち行って踊ろう」と振り回される。
異様に凄かったのがランボン・ダンス。
参加者ほぼ全員が手をつないで二重三重の輪を作り、音楽に合わせてつないだ手を前後に振りながら反時計回りに回る、スロー・テンポの踊りです。
雰囲気はおとなしいのですが、注意すべきは踊りの輪の中に紛れ込んだ数人の「飲ませババア」。ボトルとグラスを両手に持って、踊り手一人づつ順番に強引に飲ませてゆく係です。断ろうにも両手をつないでいるので抵抗できず、口で受けざるを得ない。
ラオラーオはアルコール含有率40%を越える強い酒です。そんなものを何杯も飲まされ、延々と続くゆったりしたリズムに揺られ、数百の笑顔に囲まれ、加速するように酔いが促進されます。
ひょっとしたら集団トランス状態にあったのかも知れません。
後のことは覚えていません。その後の記憶が無いんです。
記憶が復活したのは夜明け。定宿にしているホテルの部屋でベッドに突っ伏して眠っておりました。
目覚めた途端に自覚する二日酔。その後のことは思い出したくもない。