新聞の科学欄で読んだ話です。
ある研究者が映画の観客のまばたきのタイミングについてデータを取ったところ、観客はストーリーの流れにはあまり影響しないシーンの時に集中して瞬きをし、重要なシーンには瞬きせずに済むように備えていることがわかったんですって。
ということは、我々は映画を観ている時、そのストーリーや展開をある程度予測し、盛り上がる部分を期待していることになります。
映画の作り手は、広く「間(ま)」と呼ばれているオチのタイミングを計り、そのオチをより効果的に観客に見せようとしている。
観客は、その映画が持つ「間」に合わせて展開を予想し、面白い部分を見逃さないように準備する。
我々は意識しておりませんが、作り手と観客の間にはある種のコミュニケーションとも言えるようなやりとりがあるようです。
特にコメディ映画では「間」がとても重要で、これをはずすと観客は安心して笑えない。
反対に観客をおどかす趣旨を持ったホラー映画では、観客が期待するタイミングからわざとはずすことが求められるのだと思います。
ただ、この「間」は自然と身についた社会的な感覚ですから、意図的にはずすのはとても難しいと思います。どうしてもうまい「間」に落ち着いてしまう。こういう意味で、優れたホラー・スリラー映画というのは、非常に高度なテクニックを持って作られているのではないかと思います。
先日、アメリカ人の友人に薦められて「Quarantine(クアランティン)」というホラー映画を観ました。2008年の作品で、残念ながら日本では未公開のようです。
これは怖かったー。
「消防署24時間密着レポート!」というようなテレビ番組のために撮影クルーが消防署を取材中、とあるアパートに緊急事態が発生、救命士たちと現場に駆けつけます。そこではどういうわけか住民がどんどんゾンビー化しており、その原因は何かの病原菌によるものだとした当局がアパートを封鎖してしまいます。消防士や撮影クルーはゾンビー住民とアパート内に閉じ込められる・・・という内容です。
すごく上手な監督だと思います。ビックリ箱のように脅かすポイントが次々と出てくるのですが、それがことごとく「間」をずらしてあるように感じるんです。血しぶきがあがったり、死んだはずのヒトが生き返ったり、と、ホラー映画のイベントとしては使い古されたネタばかりなのに、間をずらすだけでこんなにも怖いものになるのか、と感心しました。
ビックリしたいヒトにはお勧めです「クアランティン」。