現国の教科書に載っていた、スタインベックの「朝めし」という短編小説。
授業に飽きるとそのページを開き、繰り返し楽しんだものでした。

寒い朝。散歩に出かけた筆者は、天幕生活をしている黒人の綿摘み労働者の親子に朝食に招かれ、ベーコン、トースト、それにコーヒーの質素なメニューを屋外で楽しみます。
赤々と燃えるストーヴの火の上、フライパンの中でベーコンがじゅうじゅうと音を立てている状況がたまらなくおいしそうで、うっかり昼前に読み込んでしまうと空腹感が増してとても苦しい状況になります。
カリカリに焼かれたアツアツのベーコン。
その油を染み込ませたキツネ色のトースト。
苦味が負担にならず、何杯もオカワリできるコーヒー。
質素であるがゆえに、その味に得がたい「何か特別なもの」を感じてしまう。
「朝めし」を読んで以来、私にとってトーストとベーコンとコーヒーは朝食を構成するゴールデン・トリオ。

この作品は大久保康雄氏の訳によるものです。
私は同氏の訳によるヘミングウェイ作品も繰り返し読むほどのファンでありました。
ジーンズを「天竺木綿(てんじくもめん)」と訳しているところに時代を感じます。また氏の特徴として、アメリカの南部なまりをズーズー弁に訳すことがあげられます。黒人労働者が「おらがなんとかするだよ」などと発言するのを、私はごく自然に受け入れておりました。

最近の若い世代は朝食を抜くことが一般的らしいが、若者諸君、この短編を読んでなお、君は朝飯を抜くか? 
オジサンには無理だ! 
だからメタボだ!