10年近く前に日本を離れ、以来現在までに日本で過ごした時間は合計してもたぶん3ヶ月に満たないと思います。当然のことながら日本語に触れる機会は激減しており、最近では日本のテレビ番組を見ても出演者が話していることがうまく聞き取れず、日本語の字幕が欲しくなってしまう私です。

そんな私が先日耳にした不思議なフレーズ。
「普通に恥ずかしい」
自分の行為を恥じる若者が口にした言葉です。
恥ずかしさにもレベルがあり、その中で「普通に恥ずかしい」とは、中程度の恥ずかしさを示すのだろう、とオジサンは思っていました。穴があったら入りたくなるほどではないにしても、ちょっと赤面はする程度かな、と。
ところが現代日本(特に若者社会)に於いては、これは「ものすごく恥ずかしい」という意味で使われているようです。
この行為を恥ずかしいと感じるのは「普通」であろう → 同様の経験をした人ならばほぼ間違いなく恥ずかしいと感じるであろう → 誰もが納得できる恥ずかしさ → ものすごく恥ずかしいコトである、と展開するようです。

それから「なにげに」。
たぶん「何気なく」から派生した言葉なのだと想像しますが、これも実は強調の意味を持つらしい。
例えば、「なにげに良いね」というフレーズ(が正しい用法かどうか、オジサンにはわからないけどさ)は、これは本来の「なんとなくよろしいように感じる」というボンヤリした感想ではなく、「意外に良い」とか、時には「すごく良い」という主張になるようなんです。

いずれも、非常にトリッキーで難しいフレーズであるように感じます。
しかし言葉の変遷とは面白いものです。「普通に」とか「なにげに(何気なく)」という、本来「特別ではない」ことを示す言葉が、逆の意味に使われるようになるなんて。
次回の帰国時に私が母国語をどれだけ理解できるのか、興味深いところであります。