でもいきなり戦争だなんて…
急展開過ぎないか?

しかも、逃げきってみせるぜ!と意気込んだのはいいが…果たしてそんなことが可能なのか?

相手は宇宙人。
科学力も頭脳も相手のが上だし、アヤミの戦いっぷりを拝見したところ戦闘力もハンパなく高い。

苦境に立つアヤミの寝顔は決して安らか、とは言えない。

俺は指先の神経を集中させ、そっと彼女の左袖を捲った。

…。
ホント、コイツには驚かされてばかりだ。

傷口が綺麗に塞がっているではないか。

これも彼女が使う“術”のおかげか?
だとしたら羨ましい機能だな。
…相手をふっ飛ばしたりする攻撃機能はいらないが。

俺は横に預けた体を起こし、月明かりに照らされる海を眺めた。

…元カノと最後の旅行がここ、沖縄だったな。
まさかこんな形で再び訪れるとは思わなかったよ。

あの時と変わらない波の音、潮のにおい、風の音。

まだ失恋の傷が癒えていないんだ。
思い出させるなよ。

「…アキトさん?」

鼻をすする音で起きてしまったのだろう。
アヤミは俺の名前を呼んだ。

「どうしたの…?アキトさん…?」

「うるせーなぁ。地球の男は失恋に弱いんだよ。」

クスクスと小さく笑う声が聞こえる。
デリカシーのない女だ。

「あたしが慰めてあげるよ?おいで。」

「あいにく俺は青姦が嫌いでね。」

「そう?ならいいわ。おやすみなさい。」



…少し後悔してしまった自分が嫌いだ。