前回までのあらすじ

~アキトくんが恋人のななみちゃん(ガルバルド星人)の鋭い爪で襲われそうになってるんだよ。~




「アキトさん!」

アヤミが俺の名前を叫んだと同時に俺の中肉な体は広葉樹の葉の如くヒラリと宙に浮き、次の瞬間後ろの壁に叩きつけられた。

渾身の一振りを空振りしたガルバルドはうざったそうに舌打ちをした。

今のは…アヤミが助けてくれたのか?
だったらもっと優しく突き飛ばしてくれよ…
コンクリに頭打っていってぇ…。

「往生際が悪いですよ~?あなた達に勝ち目はないんですよ~?」

うん…。
確かに納得してしまう…。
アヤミが助けてくれなかったら今頃俺の首は胴体とサヨナラをしていただろう。

しかもその彼女が左腕を負傷しているときた。

「…?」

ななみの後ろで膝を崩すアヤミが何か俺にジェスチャーを送っている。

「…???」

血まみれの左腕を小さく横に振っている。

そこをどけってことか?

「往生際の悪い男は私あんまり好きじゃないよ?」

俺達のやり取りに気付いていない敵は自分が望む男性像について語っている。

俺は怪しまれないように、あくまで自然と、壁に背をつけた状態でジリジリとカニ歩きを始めた。

「今までエルスの男性と付き合ったことあるだけど~どいつもこいつもエッチが下手くそすぎるのよ~。ガルバルド星じゃ考えられないわ~。」

“もっと、もっと左に寄って…!”

真剣な眼差しを送るアヤミと目が合うと、彼女の心の声が聞こえてくる気がした。

「やっぱり男は腰使いが重要よ~♪今夜あたり私がアキトくんに調教してやりたかったんだけどなぁ…。」

「それは惜しいことをした…。」

ついにアヤミは左手の親指と人差し指で○を作った。

何を企んでいるかわからんが、頼んだぞアヤミ…!