「うわぁ!」

俺は情けない悲鳴を上げケータイを放り投げた。

今から伺いますって…ホラー過ぎるだろ!

「な…ななみも宇宙人なのか!?」

「説明は後でするわ。今は逃げることが先決よ。」

彼女は俺の手をギュッと掴み部屋を出た。
…緊張しているのか手が少し湿っている。

「…ってまた資料室かよ!?」

「今度は違うところへ移動するわ。」

とスイッチを押した時だった。

「トラップ発動~♪」

「!?」

いるはずのない、そしていてほしくない人物が目の前に現れた。

「うわぁ!」

またしても俺は情けない悲鳴を上げてしまった。

「ちょっとアキトく~ん。なんでコリンの女と遊んでるの~?付き合って早々に浮気ぃ~?」

大学にいる時とは違う、垢抜けた喋り方をするななみがゆっくりと俺に近付いてきた。

反発しあう磁石のように彼女が一歩踏み出せば俺は一歩、後退する。

「ななみさん…だっけ?」

アヤミは俺達の間を割って入り、仁王立ちした。

男として情けないが、ここは彼女に頼るしかなさそうだ。

「そうよ♪エルスにいる時は“ななみ”って名乗ってるんだ~。可愛い名前でしょ?」

「…ななみさん、ガルバルド星の人よね?」

「正解♪よくわかったね~スゴ~い。」

「アキトさんの保護か消滅…どっちを望んでるの?」

「後者よ♪」

ニッコリと笑みを浮かべてそう答えた。
どうか悪い夢であってくれ。