「ちょっと待った…」

俺は武田にタイムをかけた。

地球人の精子をコリン人の精子に変える?
だったら最初からお前らの精子で授精させればいいじゃないか。

もっともであろう意見を口に出して言った。

「エルスはまだ発展途上惑星にすらなっていませんからね。」

きっと理解し難いですよ?
と鼻で笑い

「エルスの遺伝子は残しつつ、コリンの精子に変換させるのですよ。」

と確かに理解し難いことをぬかした。

んなこと現実的に不可能だろ?

「理論上可能です。なにしろ“データ”ですから。」

まず精子をデータ化することが地球では不可能なんだよ。

「…ですが、“データならでは”の問題が発生したのです。」

苦笑しながら武田は言う。
まさかと思うが

「容量か?」

「…!その通りです。」

武田は驚きを隠せない表情で言った。

俺のウィンドウズ2000も容量にはたくさん悩まされてるからな。
エロ画像、エロ動画を保存しすぎて…
気持ちはよくわかるぜ。
…が、しかし

精子をデータ化させたり、俺んちであるアパートを銀河の彼方へと瞬間移動させたりと、超科学的なコトができるくせに

たかが“容量”だぜ?

そんくらいのこと、数秒で解決できるだろ?

「ではそれを踏まえた上で実験開始です。」

俺の心の問い掛けはむなしく、武田の冷静沈着なセリフにかき消された。