「すべての謎の答えは、あの扉の向こうにあります。」

武田は扉に手をかざし

「¢£∴∞§ÅΔБыя…」

呪文のような言葉を発した。
扉はそれに応じるよう音を立てず静かに開く。

「こちらへどうぞ。」

「…。」

主観で広くも狭くもない、部屋の中央に直径2メートルほどの無色透明な“球”が置かれている。

「この球は?」

デカい水晶玉みたいだ。

「簡潔に言うとメインコンピューターです。」

許可を得てその球を触ってみた。
ひんやりと冷たい。

「突然ですが、今からある実験を行いたいと思います。」

武田は球に手を触れ呪文を唱えた。
…もしかしてこの呪文はコリンで使われてる言葉なのか?
そんな推測を立ててみた。

「…あ!」

球にオタマジャクシのような生物が一匹、大きく映し出された。

「これは一般的なエルスの精子です。」

なるほど。
保健体育の教科書に画かれていた通りの形をしている。

「現物ではなくデータですが、まぁその理由も後ほどわかるでしょう。」

データ化された精子はウヨウヨと元気よく尻尾を動かしている。

「我々コリンとあなた方エルスのDNAは当然のごとく異なります。」

そうだろうな。

「この精子をコリンの卵子に授精させても…」

「受精しない。」

と俺は答えた。

「その通り。腐って終わりです。」

そこで我々は…と力強くためて

「受精を可能にするため“エルスの精子をコリンの精子に変換させることにしました”」

と、また訳の分からないことを言い出した…。