今日の夜に再び逢うことを約束し、俺とななみ(早速呼び捨て)は大学を後にした。

「じゃあ夜…アキトクンちに行くからね。」

と最後に言い残し、ななみは下りの電車に乗りこんだ。

「さてと…」

俺はiPodを取り出し、イヤホンを耳に装着した。

…未だに信じられないな。
ホントに俺達付き合ったのか?

♪君のこと~知りたい~♪全てを~知りたい~♪

イヤホンからは俺が愛して止まないドローウィンの曲が流れる。

(…騙される覚悟で付き合ったんだ。
ゴチャゴチャ考えるのはよそう。)

俺は無理やり自分にそう言い聞かせ、上りの電車に乗った。






電車に揺られること30分、駅から自宅まで徒歩3分という好条件の我が家が見えてきた。

…地元ってどうしてこんなに心が落ち着くんだろうな。
旅行に行く理由は地元の素晴らしさを再確認するため
とはよく言ったものだ。

そんなことを思いながら歩いていると

「アキトさん…ですよね?」

肩を叩かれ振り返るとそこには昨日のデリヘル嬢、アヤミちゃんが立っていた。

予想外の人物に俺は驚いた。

「アヤミ…ちゃん?え?どうしたの?」

二日連続デリバリーだなんて、
俺の財布はそんなに肥えてないぞ。

「いえ、今日はちょっとアキトさんにお話したいことがありまして…。」

お話?
何の?

「あの…異星人絡みのお話ですけど…」


はぁ…

俺はため息を吐き、アパート2階の俺の部屋へと足を運んだ。

「あっ!あのっ!ちょっと待ってください!」

オカルト女は俺のTシャツの袖を掴んだ。

「あのなぁ、君いい加減にしろよ?」

俺はそんなくだらねぇ話に付き合ってやるほどお人好しでも暇人でもないんだ。

袖を掴む彼女の手を振りほどき、俺は一気に階段を駆け上った。

「待って!ホントに待って下さい!」

シカトだシカト。

俺は鍵穴に鍵を差し
ガチャリと捻っ…ん?

あ…あれ?

腕が…いや、体が動かねぇんだけど…?

「まず最初にアキトさんに謝ります…。ゴメンナサイ!」

俺のすぐ後ろから彼女の声がする。
振り向きたいが…マジで体が…動かねぇ…

パニくる俺に彼女は続けてこう申したんだ。

「…あなたの精子データが異星人に流出してしまいました…」