90分におよぶ情報科学の講義が終了し、タカシの

一緒に帰ろうぜぃ

という誘いを一瞬で断り、俺はかけ足時々スキップでななみちゃんの待つ食堂へ向かった。

昼食時には混み合う食堂もさすがにこの時間帯は誰もいないや。

「ななみちゃん。」

1人窓際で黄昏る、彼女の名を呼ぶ。

「アキトクン…!」

振り返り美人とは、彼女のためにある言葉だ。
うん、間違いない。

「アキトクンごめんね、急に呼び出したりして…。」

「いやいや。全然構わないよ。」

ななみちゃんの呼び出しなら例え海外でもすっ飛んで行きますよ。

なんて言えるわけもなく、ただ迷惑でないことを伝えた。

「で、何か用?」

呼び出し理由を問うと彼女はキュッと口を紡ぎ、顔を少し赤らめた。

…ん?
なにこの雰囲気。

「め…迷惑…だったらごめんね…」

彼女はもごもごして言った。

「あの…ね…あたしね…アキトクンのことがね…」

…はい…

「…興味がある…っていうか…気になるっていうか…」

…はい…

「あの…こんな時…なんて言うのかなぁ…?」

…?

「あ…!あの…あたし、アキトクンのことが好き?…ですっ!!!」

ん?
なんで疑問系?

「あ…あの…あたしでよければ…こ、交際?してください…!」

そう言い終わると彼女はほっと一息ついた。

…ってこれは告白されたのか?

「あの…アキトクン…?」

どうやら彼女は俺の返事を待っているらしい。
だとしたらもちろんYESだ。
即SAY YESだ。
だがちょっと待て。

「ちょっと急過ぎない?」

明らかに急展開過ぎるだろ。
何か裏があるんじゃないか?罰ゲームとか?

「え…急…かなぁ?」

「急だよ。昨日まで普通に女友達だったじゃん。」

「…そう…だね…。」

と彼女は大きな瞳に涙を溜めた。

「でも、ななみちゃん」



俺はそんな細かいことは気にしないぜ☆
どうせ騙されるならトコトン騙されてやろうじゃねぇか。

俺は彼女の告白に応じた。