アイツの耳は節穴か。

いや
耳は元々穴あいてるか。

…じゃなくて

俺の歌を否定するなんて…
さては俺の才能にひがんでいるな。

放課後、俺は家に帰ることなく(家出中だから)静まり返った校内をプラプラ歩いていた。

『女子ラクロス部~ファイオー!ファイオー!』

元気のいいオナゴじゃ。


暖かな春風に吹かれながら、校庭を眺める。



「熊田…クン?」

女性の声?

しかもかわいらしい淑やかな声。

瞳以外の異性に声をかけられるなんて珍しいな。


「………!!!!」

体に電流が走った。

振り向くとそこには、今まで見たことも出逢ったこともない美しい女性が立っていた。

「やっぱり熊田クンだ!」

誰だこの女は…!
面識ないぞ…!

「ふ…フーアーユー?」

馬鹿!
なぜ英語!?

女はクスクスと笑った。

「あたし小野さき。三組の副担任だよ。一年間宜しくね。」