あれから俺は普通に授業に出て、普通に帰って、
今、さき宅にいる。

中川の姿は見なかったが…
メンドイで良しとしよう。

「ジャジャジャジャジャジャーン♪」

“ジャ”がやたら多い
変な効果音と共にすき焼きが登場した。

「さき特製なのだ~♪」

至って普通ね。
でもツマミじゃなくて良かった。

「た~んとお食べ♪」

さき、やけに明るい。
てか空元気。
コイツも嘘が下手だ。

「なぁさき。」

「うん?」

小さな顔がこちらを向く。

「この後、別れ話するつもりだろ?」

「……。」

グツグツと鍋の煮える音が響く。

「教師辞めたくないもんな。」

「……。」

肉を口に運ぶ。
うん。デリシャス。

「洋ちゃん…洋一が…」

「?」

「洋一が…卒業するまで距離を置こ…?」

涙の膜が張っている。

「あと3ヶ月の辛抱だから…今日がとりあえず最後の晩餐ね…」

最後の晩餐って…
ダビンチかよ。


そんなツッコミを胸にしまい、
唇を重ねてみた。