明日は他人の私へ。

 

「美容院」ていうの

古いんだろうかって

不安になるけど

かといって

じゃあ「ヘアサロン」とでもいえば満足か? あ?

と凄みたくなるくらいには

どうにもこうにも

落とし所が見つからないのです。


え、さて。


ポイントほしさにいれたアプリで

ヘアスタイルのあれこれが

流れてきたんスよ。


そこには

昔からずっと


こんなふうにしたい!


と思いながら

美容院でお願いしても

スルーされ続け

とうとう心折れた髪型も。


たまに街中で見かけると

あっ

あれ、いいなあ……

って、

追いかけてって

「それ、なんていってオーダーしたらやってもらえるんですか!?」

て聞きたくなるくらい。

今も憧れの髪型なんです。


20代から30代にかけて

通っていた美容院では

これこれこう

と口で説明しても伝わらず

 置いてあるヘアカタログ?

から探し出して、

これです!

ってやっても


ああ、ふーん、はーい……


とか、


あっ、はい!


とか、

まあ反応は様々であっても


仕上がりはいつも


大人しめな

ゆるふわボブ。


違うんだ。

そういうんじゃなくて

もっとこう……

自分じゃ奇抜とは思ってないけど

たぶん世間一般的には奇抜なんだろうけど

自分はそれがいい、それにしたいと思っている、

あの、さっき見せたあの髪型にしてほしいんだ。


なのに、

毎月通っているところの、

毎月担当してくれているひとが、

何度お願いしても、


はーい、


で、


大人しめの

ゆるふわボブ。


判で押したように。

型にはめたように。

粘土でぐりぐり髪がのびるあれの

型をはめたパーマスタイルのように。

いつもいつでもどんなときも

ゆるふわボブ。


切り終わったあと

鏡を見せて

いかがですかー?

のときに、勇気を振り絞って

あのう、さっきの雑誌の……

と伝えたら

関係ない話ではぐらかされたことも

ありましたっけ。


あれから10年。

なんなら20年。

いま通っているところは

ようやく刈り上げにしれくれたところ。


すっかりあきらめていたけれど

このまま死んだら


ああ、

人生で一度でいいから、

あの髪形にしたかったなあ……


って後悔しない?


せめて、

頭の形からして無理

とか

髪質からして無理

とか

似合わない

でもいいから、

できないならできないでいいから

その理由が知りたい。



というあんばいで

アプリを見せながら

いま通っている美容院で

懇願しました。


すると、


「できますよ?」


今より伸ばす必要があるし

今のスタイルの大元から変える必要があるけど

できないってことはない、

と。


というわけで

髪が伸びたら

あの頃あきらめた髪型に

チャレンジするわけですが。

私がよほど

不必要な周辺情報、

何度頼んでもスルーされた話をしたせいでしょうか、

ほかのお客様も同じような経験を

ここへ来て語ることがある

と話してくれました。


それはだいたい

女性にしては奇抜だったり

まあ、あまり女性なら選ばないスタイル。


こういう感じで!

とお願いしても

仕上がりはなんだか

エレガント~

で、

なんか違う……

とモヤモヤ。


もちろんいま、

できますよ?

と言ってくれた美容院でも

言われるままにカットするわけではなく。


きちんとヒアリングして

どこまで本気か、

どこまで希望しているのか

見極めてからカットするのだとか。


そういえば

いまのところにたどりつく

前のことでしたけど、

私の頭を

ドナルドダックのおしりみたいな

最高に可愛くしてくれた美容師さんは

どちらかというと若くて

おそるおそるチャレンジしてみる、

といった様子でした。

次に行ったときは店を変わっていて

それっきり。


あのときちゃんと、

これすごくいいです!

ありがとう!

って、

伝えたっけ。


おとなしい、

素敵だけどあたりさわりのない

そういうんじゃないスタイルも

やってくれる美容師さんに

今頃なっているといいな。


ではまたいずれ。

ごきげんようごきげんよう。

  

この空しい人生の日々に
わたしはすべてを見極めた。善人がその善のゆえに滅びることもあり
悪人がその悪のゆえに長らえることもある。
善人すぎるな、賢すぎるな
どうして滅びてよかろう。
悪事をすごすな、愚かすぎるな
どうして時も来ないのに死んでよかろう。

(『コヘレトの言葉』第7章第15〜17節)