明日は他人の私へ。

 

大河ドラマは『光る君へ』。

源氏物語では、若菜が好きです。

 

え、さて。

 

高校の授業だったか、

こんなことを習いました。

 

源氏物語の文章では主語がないことが多い。

文章に使われている敬語のグレード
グレードとは言わなかったろうけんど
その重さ大きさで
誰をさしているのかを推測するのだと。
 
先日、仕事中のことです。
 
ああ、今も無意識にそういう
「敬語で主語を推測する」
ということを
やってるもんだなあ
と思うことがありました。
 
仕事上、
ヘルプデスクみたいな立場で
トラブルについて報告を受け
対処方法を考える、
ということをやってます。
 
電話でかかってきたその案件について、
向こうはこう言ったのです。
 
「これについてはもう、
 代金をお支払いいただいているので……」

 

ん?

と思いました。

 

それはまだ、

お客に代金を請求して良い時期が

きていないものです。

 

「えっ、

 もうお客に代金を払ってもらったんですか?」

 

「えっ、

 いえ、お客様への代金の請求は、来月の予定です」

 

ですよねえ……。

 

首を傾げながら続きを聞きましたが、

何度も何度も、

「お支払いいただいているので」

という言い方をする。

 

とうとう、

「その、お支払いいただいている、

 というのは、

 誰が誰に支払ったことを言ってるんですか?」

 

電話の向こうで、

ちょっと沈黙があり、

 

「……〇〇支社(電話してきたとこ)が、

 納品元に、

 代金を支払ったのかという確認ですか?

 ええ、お支払いいただきました」

 

ええ……。

 

それは、そんな敬語は使わんよ……。

 

お支払いいただきました、なんて、

お客から払ってもらった、という意味にしか

解釈できんだろがよ……。

 

 

主語のない言葉でありながらも、

その敬語の方向からすれば

あなたんとこが払った意味だなんて

全然判らんかったよ……。

 

 

あとになって分かったのは

電話をしてきたのはバイトさんでした。

 

もしかしたら、

もしかしたらですよ?

 

面接のときに、

「御社の~」

とかいうじゃないスか。

 

あのクセのまま

自分がそこで働いている今になっても

その支社に対して

敬語を使っているのかしらん。

 

だとすれば、

外からの電話に

「〇〇様は席をおはずしになっていらっしゃいます」

とか言ってねえだろな?

 

まさかねえ。

 

主語と省略しがちな日本語が、

それでもなんとなく話が通じるのは

正しく敬語などが使われているからこそなのだな

と痛感したのでした。

 

ではまたいずれ。

ごきげんようごきげんよう。

 

 

この空しい人生の日々に
わたしはすべてを見極めた。善人がその善のゆえに滅びることもあり
悪人がその悪のゆえに長らえることもある。
善人すぎるな、賢すぎるな
どうして滅びてよかろう。
悪事をすごすな、愚かすぎるな
どうして時も来ないのに死んでよかろう。

(『コヘレトの言葉』第7章第15〜17節)