明日は他人の私へ。

 

や、何を言うか。

言わずもがな面白いではないか、

という方もいましょうけんど。

 

読まねばなるまいと思いつつ

何年も積読だったんです。

 

レヴィ=ストロース『悲しき熱帯』

 

 

 

 

 

数ページ読んでは挫折。

数ページ読んでは挫折。

睡魔と戦うこと幾度。

 

もう一度チャレンジしようと思えたのは、

なにかで引用されていた

『悲しき熱帯』の冒頭。

 

 私は旅や探検家が嫌いだ。それなのに、いま私はこうして自分の探検旅行のことを語ろうとしている。(4p)

 

はて?

 

そんな、興味をそそられる冒頭だったっけ?

まったく記憶にないのだけれど。

 

 

積んでた本を手に取り、開くと、

冒頭は、

「中公クラシックス」版のためのメッセージ。

この本の日本語版の初版〔一九六七年〕(略)

という著者の言。

 

これではない。

 

これの次は目次。

 

目次の次が、

『悲しき熱帯』のいまーー四十六年ののちに 川田順造

『悲しき熱帯』の原著が刊行されて四十年、日本語での初めの拙訳(略)

 

これでもない。

 

その次。

 

二十二年ののちにーー一九七七年版の全訳の訳者前書きより

『悲しき熱帯』の原著Rristes Tropiquesは、一九五四年十月十二日から翌年の(略)

 

これでもない。

 

この次は凡例で、

ここまでで30ページ。

 

おかしい。

あの冒頭の文章はどこだ。

 

さらにめくっていくと、

ようやく現れたのが、

 

第一部 旅の終わり

 

 

 

 

やだしびれる。

 

冒頭から「旅の終わり」とか

これがしびれずにいられようか。

 

そしてようやく、

 

 1 出発

 

 私は旅や探検家が嫌いだ。それなのに、いま私はこうして自分の探検旅行のことを語ろうとしている。

 

ようやく!

 

ここから先は、

歴史教科が大の苦手だった私には

細部はするすると記憶から抜け落ちながらも

 

あれれなんだよ面白いじゃないか!?

 

と驚きながら読み進めているところです。

 

不潔な船内の描写。

役人仕事にふりまわされ監禁されたり。

新しい通知が伝わっておらず

古い通知が生きてるとか

あるあるだわとうなずいたり。

 

これまで何度も挫折していたのは、

前書きと前書きと前書きだったんだな。

 

目次から読み込む私の読書スタイルが

完全に仇となったパターンです。

 

まだ読み終わってないんだし

やっぱり挫折するかもしれないけれど、

 

なんだよ本文はちっとも退屈じゃないじゃん!

 

と感動したので

書き留めておくのです。

 

ではまたいずれ。

ごきげんようごきげんよう。

 

   明日ありと思ふ心の仇桜夜半に嵐の吹かぬものかは  親鸞