作家・井上ひさしさんは色紙に、
「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに」
という言葉をよく書くそうである。
この言葉は、なにも小説家に限らず、文章を書く人全てに共通する「教え」の気がする。
もちろん、事例ライターしかり、である。
まず、「むずかしいことをやさしく」。
これは今私が一番頭を使っていることだ。
最近は、IT事例を書くことが多い。IT事例は、難しい。商品説明を何度読んでもわからないことがある。
でも、わからないまま書くと、「難しい」文になってしまう。
「やさしく書ける」ということは、ものごとをよく理解していないとできない。
そして、
「やさしいことをふかく」
「ふかいことをゆかいに」
「ゆかいなことをまじめに」
これはもしかしたら、難易度の順ではないだろうか。
特に「ゆかいに」という部分。
「面白く書く」ということが、どれだけ難しいか。
どれだけ視野の広さと本質を見抜く力が必要か。
書けば書くほど、自分の力のなさを思い知る。
書けば書くほど、まだまだ頭を使っていない自分に気づく。
「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに」
いつかそんな文章を、私も書いてみたい。