こんにちは、ウェルネス・コーディネーターのToshiです。
雑誌『ニューズウィーク(日本版)』3月2日号に、「儲かる健康経営最前線」というタイトルで、アメリカの企業内健康づくり対策の最新情報が特集されていました。
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医療費の高騰が収益の足を引っ張り始めたらどうするか!
アメリカの優良企業が出した答えは、意外にも、「社員の健康に投資する」だった。
肥満や禁煙などの不健康な生活習慣には、会社が積極的に関与して、予防や早期治療にお金を掛けたほうが、結果として医療費は少なくて済む。
そればかりではない。。
より健康な社員、より幸福な社員は、それだけ生産性も高く、業績にも貢献できるので、健康への投資は、将来何倍にもなって返ってくる。
これが、近年アメリカで注目を集めている「健康経営」の考え方だ。
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かつて、1980年代以降、企業が、自社の社員の健康づくりに積極的に取り組むことを「Fitness in Business(企業フィットネス)」と言い、ペプシコ、GE、テネコ石油、NBCテレビ、GM、カナダ生命他、多くの大企業がさまざまなフィットネスプログラムを実施しました。
私も、80年代と90年代に、カナダとアメリカの有名企業を訪問し、企業が従業員の健康づくりに取り組む現場をいくつもレポートしました。
企業フィットネスの主な目的は、次の5つです。
●医療費の削減
●欠勤率の低下
●生産性とモラルの向上
●離職率の低下
●企業イメージの向上
昨年2月に、アメリカ健康政策専門誌『ヘルス・アフェアーズ』に掲載された研究では、健康管理プログラムに1ドル投資すると、3.27ドルの医療費抑制効果が得られるという結果が出ています。
社員の健康は、重要な経営資源。
病気の予防やフィットネスに投資をすれば、将来2~3倍になって帰ってくる。
病人にお金を援助するよりも、病気にならない健康づくりにお金を掛けたほうが安上がりだということですネ。
さらに、「コスト削減」の観点に加えて、企業の理念(ミッション)としての「健康経営」が今まさに問われ始めているのです。
「社員の健康に投資する会社こそが、エクセレント・カンパニーになれる。」という「健康経営」の哲学を初めて提唱したのは、1992年に『ザ・ヘルシー・カンパニー』を出版した経営心理学の専門家ロバート・ローゼンでしょう。
彼によれば、「真のヘルシー・カンパニーは、上司から、組織構造、企業文化まで、すべてが健康的でなければならない。」と言及しています。
上司は、人間的に成熟していて、雰囲気のいい職場づくりができるリーダーでなければならない。また、フラットな会社組織やチームワークを重視する企業文化も、社員の健康には不可欠なものです。
従来は、企業の財務状況がヘルシー(健康的)というのは、比喩にすぎなかったわけですが、これからは、「社員個々の健康」と、「会社の健康」は、相関することがわかってきていると、ローゼンは言っています。
日本においても、「企業フィットネス」が、単なる福利厚生的な施策として扱われてきた現状がありますが、ここ数年の「メタボ対策」、そして、「健康経営」といった新しいキーワードを活用し、企業内健康づくりを、さらに積極的に推し進めていきたいと思います。