こんにちは、ウェルネス・コーディネーターのToshiです。
昨日に引き続き、高齢者の低栄養問題について説明します。
低栄養を引き起こす関連要因として、
①歯牙の欠損、咀嚼障害
②視力低下
③一人暮らし
④健康情報への関心の欠如
⑤調理経験の欠如
などが挙げられます。
「噛めない人」は、「噛める人」と比べ、栄養素摂取量ならびに食品別摂取量が少なく、また、体重やヘモグロビン濃度、血中コレステロール値も低い値を示します。
また、「噛めない人」は、体力テストの「握力」や「開眼片足立ち時間」なども低値であり、こうした咀嚼能力の低下は、食事の量や質を低下させると同時に、この状態が長期化すると、低栄養状態となり、その後、さまざまな身体障害を生じやすいことから、生活の質(QOL)を低下させてしまいます。
では、高齢者の低栄養問題を予防・改善するためには、どのようなライフスタイルと食行動を実践すれば良いのでしょう?
東京都健康長寿医療センター(旧東京老人総合研究所)の熊谷修先生が提唱されている、低栄養予防のための食生活指針15項目を紹介しましょう!
●3食バランスよくとり、欠食は絶対避ける
●動物性たんぱく質を十分摂取する
●魚と肉の摂取は1:1程度の割合にする(毎日)
●肉は、さまざまな種類を摂取し、偏らないようにする
●油脂類が不足しないように注意する
●牛乳は、毎日200ml以上を飲むようにする
●野菜は、緑黄色野菜、根野菜など、豊富な種類を毎日食べる。
火を通して摂取量を確保する。
●食欲がないときは、特におかずを先に食べ、ご飯を残す。
●食材の調理法や保存法を習熟する
●酢、香辛料、香り野菜を十分に取り入れる
●調味料を上手に使い、美味しく食べる
●和風、中華、洋風と、さまざまな料理を取り入れる
●会食の機会を豊富につくる
●噛む力を維持するために、義歯は定期的に点検を受ける
●健康情報を積極的に取り入れる
普段、肉類や油脂類の摂取が、血中コレステロール値増加を招くと危惧する向きもあります。しかし、そもそも、血中コレステロール値は加齢に伴い低下します。また、75歳以上の高齢者において、女性では血中コレステロールの低い人ほど、生命予後が悪く、男性では総死亡のリスクとは無関係であることが判ってきました。
つまり、高齢者にとって、『粗食が元気で長生きをもたらす』という従来の考え方は、間違っていたということになるのです。
30~65歳までの青年期から中年期は、メタボや生活習慣病の予防のための「高繊維・低脂肪」の食事指導が基本となりますが、高齢者、特に後期高齢者に至っては、「肉や魚を毎日しっかり食べましょう!」といった、低栄養予防のための食事指導にシフトしていかなければならないということなんですね