こんにちは、ウェルネス・コーディネーターのToshiです。


11月30日のブログで、腰痛の予防改善方法について書きました。

また、腰痛の約80%は、腹筋の筋持久力の低下と、体幹と大腿部裏側の筋肉の柔軟性の低下、つまり、筋肉が原因の「筋膜症腰痛」だとも言及しました。


しかし、この世の中には、さも不思議な理由で、腰痛になることもあるのです。


みなさんは、ミステリー作家の「夏樹静子さん」をご存じでしょうか?

慶応大学在学中から推理小説の脚本を手掛け、その後、数々のミステリー小説を書かれた有名なミステリー小説作家です。1980年代、薬師丸ひろ子主演で映画化された『Wの悲劇』の作者として、また、サントリー・ミステリー大賞の審査委員としても、よく知られていますよネ。


この夏樹静子さんが、1993年1月から約3年間、原因不明の激しい腰痛に見舞われ、ありとあらゆる医療や改善法を試みても、症状はまったく良くならず、仕事もできなくなり、自殺まで考えた時期もあったそうです。しかし、3年後、運命的なドクターとの出会いで、この奇妙な腰痛が完治します。この3年間の闘病生活を、本人自らがノンフィクション小説として執筆したのが、本『椅子がこわい』(新潮文庫)です。


この本の中で、びっくりするのは、夏樹さんがその当時、腰痛治療で訪れた、ありとあらゆる医師、治療家、また、彼女が実施したさまざまな対処療法が、実名入りで書かれていることです。とても興味深いので、みなさんもぜひお読み頂ければと思います。


「全身が異常にだるい」、「背中から腰かけて、鉄板が入っているように固い」、「正坐するはおろか、椅子に座ることもままならない」。そんな彼女が、当時3年間、北に良い医師が入りと言われたら素直に行き、南に優秀な治療家がいると言われれば直ぐに訪れ、スポーツクラブにも通い、カイロプラクターにも診てもらい、気功、マッサージ、温熱療法、野菜スープ、霊の供養、抗うつ剤の服用まで、ありとあらゆる民間療法を行っても、腰の痛みは、全然治らなかった。それどころかむしろどんどん悪化していくことになります。


しかし、最後に辿り着いた、心療内科の平木先生の診断結果は、まったく驚くものでした。


『夏樹静子のお葬式を出しましょう。夏樹静子(筆名)という作家の存在を、出光静子(本名)が支えきれなくなっています。カラダを支えるべき腰にひどい疼痛が生じたのは、まさにその事態を表しているのです。』。


夏樹さんの腰痛の原因は、筋力低下でも骨の異常でも、内臓疾患でもなく、「心因性の腰痛」だったのです。今でこそ、「心療内科」は認知されましたが、その当時、「自分の筆名の葬式を出す」なんてこと、また、それで腰痛が良くなるということ、誰が信用するでしょうか?


しかし、夏樹さんは、この医師のアドバイス通り、「夏樹静子」の葬式を出し、仕事を休み、しばらく本名の出光静子として暮らすことで、徐々に症状は良くなり、ついに腰痛は完治するのです。


これは、エネルギー心理学の格好のケース・スタディです。世の中には、西洋医学のようなEBM(科学的根拠に基づいた医療)だけでは、到底太刀打ちできない、カラダの神秘があるということです。


人間のカラダというものは、まことにミステリアスなものですネにひひ