吉田が初出場で優勝した02年大会以来、10度目となる世界の頂点に立った。大会前に「10連覇がかかる大会なので必ず優勝する」と宣言していた通り、五輪と合わせた世界大会の金メダル数を2ケタまで積み上げた。
世界各国の選手から研究され、徹底マークに遭いながらも相手にスキを見せなかった。1回戦では韓国選手にフォール勝ち。2回戦はウズベキスタン選手、準々決勝は米国選手、準決勝はロシア選手にいずれも2―0で快勝した。決勝の相手は昨年の59キロ級世界女王ラトケビッチ。「(昨年まで)1階級上で、力は強いと思うが、自分のスタイルで闘いたい」。持ち前のスピードで揺さぶり、寄せつけなかった。
鈴木がまさかの初戦敗退。涙もなく「ああいう負け方をするとは思わなかったし、今も夢を見てるみたい。夢であってほしい」とうわごとのように“悪夢”を繰り返した。
150キロ近い巨体のウォイナロビッチに、場外際で小外掛けを受け、一本負け。「今は何も考えられない」と今後についても言葉を濁したが、吉村和郎強化委員長は「ここであきらめるか、なにくそと思うかが勝負」と話し、13日の無差別への起用も示唆した。