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津波!!命を救った稲むらの火津波!!命を救った稲むらの火
小泉 八雲 高村 忠範

津波から人びとを救った稲むらの火―歴史マンガ 浜口梧陵伝 津波防災を考える 「稲むらの火」が語るもの (岩波ブックレット) 津波とたたかった人―浜口梧陵伝 三陸海岸大津波 (文春文庫) 阪神・淡路大震災の教訓 (岩波ブックレット)

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東日本大震災。巨大な津波はところにより15メートルを超え、東北の町々を飲み込んだ。
津波は2回、3回とやってきて、災害に備え津波に用心していた人々を駆け込んだ避難所ごと流した。
ごぉぉぉぉ、とむせび泣くような地鳴りと、もうもうとつちぼこりをあげながら木造の建物を食べる、形のない重たい化け物。携帯電話や家庭用カメラが捉えたその姿は見る者を圧倒した。
港によくある重油のタンクが津波にもがれて油を撒き散らし、津波の上を燃えながら流れされるがれきは火山の溶岩流のよう、地獄もかくやという眺めであった。

東日本大震災の前に何度か繰り返し放送されていたNHK教育テレビの「おはなしの国」の津波の伝承は佐野史郎の語りが素晴らしく、津波の恐ろしさを疑似体験させるものだった。

■ 稲むらの火


おはなしの国 第19回 津波!命を救った稲むらの火 佐野史郎


「稲むらの火」は和歌山に伝わるむかしばなし。
高台で子守をしていた村の長老、五兵衛は、奇妙な揺れ方の地震のあと、海の水が沖に引いて行くのを見た。
その光景に、五兵衛はかつて自分が子供のころおじいさんから聞かされた津波の伝承を思い出して、下の平地で農作業をしている村人を高台に登らせるため、収穫して積み上げてあった稲に火を放つ。

津波を警告する五兵衛の振る舞いにおびえておじいさんの頭がおかしくなったと思い泣く子どもと、まだ見えていない巨大な津波を確信してモノに憑かれたような五兵衛との対比が佐野史郎の語りで鬼気迫っていた。

NHK教育は同じ番組を数回にわたって再放送しているため、東日本大震災の前に「稲むらの火」をたびたび見ることになり、そのあとの津波だったので、恐怖はまたひとしおだった。

■ みちびき地蔵


Youtubeにアップされて話題になっているのが、まんが日本昔話で放送された気仙沼大島のむかしばなし、「みちびき地蔵」だ。
みちびき地蔵とはなくなった人を成仏するために導く地蔵。死ぬ前にすでに亡者となった魂が地蔵に参りに来るという。
村の親子があまりに多数の亡者がみちびき地蔵を拝む姿を見た翌日、大きな津波がやってくる。


話以上に雰囲気が怖い。
まんが日本昔話のDVDにも収録されていないし、本にも書かれておらず、気仙沼関連のサイトにも影が見えない幻の昔話。
(ここまで情報が無いと、実際にこの話が気仙沼で語り継がれているのか謎だ)


■ 西暦869年貞観地震


東日本大震災の津波被害と比較されるのが、西暦869年の貞観地震の津波だ。
観測史以前の過去の津波も、近年の研究により地学的に証明できることがわかってきた。
そのデータによると、貞観地震の際に東北地方を襲った津波も今回と同じくらい内陸まで入ってきた巨大な津波だったそうだ。

(リンク)津波堆積物を用いた過去の巨大津波の研究


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このように、伝説でも科学的データでも東日本大震災のような津波が襲ってくることは言われていたわけだが、百年、千年に一度という確率の災害に常に備えることは難しく、ノアの箱舟で暮らすわけにもいかない。
大きな地震を体感したら大きな津波が来るというものでもなく、小さな揺れの地域に大きな津波が来ることもある。
人々の命運を分けたのは、虫の知らせや偶然だったのだろうか。

津波から生き残る―その時までに知ってほしいこと津波から生き残る―その時までに知ってほしいこと
土木学会津波研究小委員会

津波災害――減災社会を築く (岩波新書) 人はなぜ逃げおくれるのか ―災害の心理学 (集英社新書) TSUNAMI―津波から生き延びるために 津波てんでんこ―近代日本の津波史 巨大地震災害へのカウントダウン~東海・東南海・南海地震に向けた防災戦略~

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Google検索の、期間指定、使ってますか?

東北関東大震災によって引き起こされた福島第一原子力発電所危機のように、人々の生活に深刻な影響を与える事件が勃発した場合、本当に知りたい、役に立つ情報を入手しにくくなることがあります。

まずWebでは、玉石混交の情報が溢れ、かえって欲しい情報が得られなくなることがあります。

ニュースサイト、Twitterや2ちゃんねるまたはそれらのまとめサイト、個人のブログ・・・こうした新しいページが雨後の筍のように一気にWebを埋め尽くします。
Yahoo!やGoogleで検索をしても、ニュースサイトや情報ポータルサイトはドメインの評価が高いため、そういった大きなサイトに記事が上がるともともと上位表示されていた地道な情報はあっというまに圏外にまで押しやられます。

こういうとき、テレビや新聞などの旧来のメディアを頼りにする方も多いと思います。
でも、旧来のメディアは、こういったリアルタイムで進行中の影響力の大きな事故ではあまり自由な報道がされません。

たとえば、放射性ヨウ素 ヨウ素131への個人レベルでの対応策についての啓蒙を行うには、原発事故の進行状況から言えば、3月14日くらいが良いタイミングだと思います。でも実際に行われるようになったのは23日以降で、それまでは「ヨウ素131は半減期が短いからだいじょうぶ」「今は気にする必要はない」「ヨウ素よりもセシウムが怖い。セシウムはほとんど出ていない」といった学者さんなどのコメントを放送していました。
もちろんテレビ局はヨウ素131の影響については元から熟知しています。今までずっと報道してますからね。

どうやら問題が実際に起こってからは、危険性について報道することが解禁されるようです。

信憑性が高い有益な情報であっても、影響が大きく視聴者の行動が予測できない場合、報道は行われないんですね。

すると、Webには情報が多すぎ、TVや新聞には情報が少なすぎるという状況になります。


・・・でも、予防のためにはもっと前に知りたいですよね。



そんな時には、Googleの期間指定がとっても役に立ちます。

まずはGoogleで検索して見ましょう。
ここでは「福島第一原発」というキーワードで調べてみます。

「福島第一原発」でGoogle検索

次に、検索結果の左側を見てください。デフォルトでは「期間指定なし」となっています。
Google検索の期間指定1

※上の表示のようになっていない方は、「もっとツールを見る」で表示させる事ができます。
Google検索の期間指定3


ここで、
「期間を指定」を選択すると、日付入力エリアが表示されます。
ここに、例のように日付を入力します。
たとえば、「福島第一原発」の検索結果から、東北関東大震災以前の記事だけ読みたい場合、
終了日に、
2011/3/10
と、震災のあった2011/3/11の前日の日付を入力し、その下にある小さな「検索」ボタンをクリックします。
(この時開始日を指定しなければ、2011/3/10よりも以前のものが全て表示されます)
Google検索の期間指定2

いざとなったとき、判断するのは自分自身、自己責任だな、ということをつくづく感じた今回の福島第一原子力発電所危機。
平時に受けた教育や、蓄積した知識が大事なのはもちろんですが、急場で情報収集する際のちょっとしたコツも役に立ちます。

※これはページの更新日付で絞り込む検索条件ですので、WikiPediaのように同じURLのページが常時更新されていくような運用のWebサイトは、以前から存在していても、この方法では表示されなくなります。そういった特性を踏まえ、他の検索方法と組み合わせて利用しましょう。

※Googleは常に進化しています。これは2011年4月1日現在のGoogle検索の仕様に沿った内容です。


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24(TWENTY FOUR)を24時間ぶっ通しで見る、という試みをしてから24(TWENTY FOUR)が苦手になり、2ndシーズン以降見ていません。
睡眠不足であったためうろ覚えなのですが、
24(TWENTY FOUR)シーズン1の最終話でジャック・バウアーがニーナを殺そうとして思いとどまり、逮捕するシーンがありましたよね。

そのとき、上司のジョージ・メイソンがものすごくジャックを誉めます。

良く殺さなかった、良くやったぞ、えらいぞ、良く我慢した、と大変にねぎらいます。

思いとどまったことよりも殺意を抱いたことのほうが注目されるだろうという価値感を抱いていたので、とても新鮮でした。

私はトラブルに対してもっと、ジョージ・メイソン的感覚が必要なんじゃないか、と思うんです。
歴史で見ると、日本人はいっぺん決めたことを途中でやめるのがどうしても苦手ですので。



さて、私の個人的な考えですが、放射能を扱うことの大原則として、コントロールできているかどうかという判断が必要だと思います。

コントロールできている→安全
コントロールできていない→危険

放射線がどのくらい出ているのか、放射性物質がどのくらい漏れているか、という、
被害によって対応策を決めるのではなく、
コントロールできているのかいないのかで対策を決めなければなりません。

しかし、特に放射能を取り扱う場合には、この「コントロール」と「被害」との時間的な開きが大きく、「コントロール」を失った時点で素早く英断を下すことが、通常の人間の感覚として大変に難しいのです。
今回の場合、すばやく廃炉を決め即座に海水注入を行うなどしていれば、ここまでの大事には至らなかったのではないかという説があります。私もそれは説得力のある話だと思います。

しかし、大した被害も出ていないのに国家予算規模の価値のある原子力発電所を即座に潰すには、
よほどきちんとしたルール、強制力がなければ難しいでしょう。

東京電力にせよ国家にせよ、
原子力を推進してきた立場の人たちが、
コントロールを失った原子力発電所をつぶしたところで、誰が誉めてくれたでしょう。

想像してください。

農作物の出荷および摂取規制もなく、海も汚染されず、東京の飲み水がパニックになることもなかった、もうひとつの世界を。

そこでは、誰も命がけで放水活動をしたり、放射線量におびえながらケーブル敷設をしたりしません。

福島県の被災者は続々と救助され、亡くなった方の身元は高い割合で判明して家族の元に帰されました。

福島には必要な物資とボランティアを載せたトラックがどんどんやってきます。

株価の低迷は一時的なものでした。
震災からの驚異的な復興の早さに世界の投資家が日本への信頼を強くします。

世界各国の原子力発電所は危機管理の見直しの後、地球温暖化に対抗し得るエネルギーのひとつとして、課題を残しながらも一定の信頼を保つでしょう。

・・・・・・・・・・・・・・・

この世界を実現したのは、すばやく原子炉を諦める決断をした誰かです。


でも、誰も彼を誉めたりはしない。
彼はむしろ非難されるでしょう。

津波に耐えられない設計は当然やり玉にあがります。
原子力発電反対派はここぞとばかりに反対運動をするでしょう。
原子力発電推進派は廃炉にしなくても解決策はあったと批判するでしょう。

彼が多くの人を救い、多くの生産者の仕事を守り、日本の経済に貢献し、世界の未来を支えたことなど、誰も気づかないのです。


ジョージ・メイソン、彼の首の後ろを揉んでやってくれないか。
よくやったぞー、お前は偉かった、ほんとうにがんばったな。



「彼」が東京電力の誰かなのか、原子力安全委員会の誰かなのか、政府の誰かなのか、
もちろん誰であっても実行できればそれで十分なのですが、
「彼」がその後に歩むであろう人生を想像すると、一番ダメージが少なく、キャリアを失わないのは政治家だと思います。自分がこうだと思って決断したことを、国民にとって意味のあるものだと知らしめることができるのは、政治家です。それが政治ですから。

現在進行中の福島第一原子力発電所危機の対策は、誰が最終的な責任を持つのかもよくわからない、責任を取るべき人がその座に就きたくないと保身を図っているとしか思えない、曖昧な体制が続いています。
対策の責任を取るべき人は必ずしも事故の責任がある人ではないし、むしろ事故の責任を負うべき人に対策の責任を取らせると自滅の危険が高いと思います。

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今後、コントロールを離れた原子炉を誰がどういった権限でどうするのかを、原子力発電所は100%安全ではないのだという謙虚な前提のもとに、きちんと決めていかなければなりません。
原発反対も原発推進もあまりに長きにわたって平行線が開きすぎていて、中間的で現実的な話ができていなかったことを反省しなくてはならないと思います。もちろん私自身も。