序盤から挑戦者・吉田和則の痛めている腰への集中攻撃を見せる二冠王者・GENTARO。
ミサイルキックの連発からプランチャ、雪崩式フランケンで逆襲を試みた吉田だが・・・
一瞬の隙を突いたGENTAROのスピアーで攻守逆転。
場外で再び腰にダメージを負った吉田、GENTAROは場外戦の最中机を持ち込むと・・・
コーナー超えのテーブルクラッシュ・プランチャで手負いの吉田に強烈過ぎる一撃を叩き込む!!
手ごたえがあったのか、場内で胸を張り仁王立ちするGENTARO。
あまりにも強烈過ぎた一発を食らい立てなくなってしまう吉田・・・
館内の声援が悲鳴に変わった程のダメージを追った吉田はそれでもリングに向かおうとする・・・


戻ろうとする吉田をリング内に引きずり込んだGENTARO、ロープ際にもかかわらず片エビ固め。
何とかフォールをカウント2で跳ね除けた吉田だが、衝撃の一発によるダメージは相当なもの。

腰の砕けてしまった状態ではボディーへのパンチも有効打にならず。


しつこいとばかりにフロント・ネックロックからブレーンバスターの体勢に入るGENTARO。
ここで更に腰へのダメージを受ける訳にはいかない吉田は必死で投げられまいと耐える。
すかさず首固めへと移行しフォールを奪いに行くGENTARO、カウント2で吉田返す。


そしてGENTAROは遂に必殺のシャープシューターを吉田に決めていった!
昨年この技で二冠王座を奪取したGENTARO、絞り上げるが吉田も腕を立ててブロック。
絞めるGENTARO、逃げる吉田の我慢比べは吉田がロープブレイク。
窮地を脱したかに見えた吉田であったが・・・

ボディスラムで叩きつけるGENTARO、何かを狙おうとコーナー最上段に登る・・・
しかし吉田も意地で立ち上がる。


雪崩式の攻撃を狙おうとし、吉田にしては珍しいヘッドバットを見せる。
だがGENTAROはその吉田を真横に放り捨てるような形で叩き落した・・・だが。


吉田はエプロンからトップロープに飛び乗ると、GENTAROの両肩に飛びつく。
昨年のタイトルマッチでも見せた雪崩式スーパーフランケンでGENTAROをたたき付けた!
驚きの直後にどっと沸く観衆!




そしてリング奥の花道をダッシュする吉田。
トップロープに飛び乗ってのスワンダイブ式ミサイルキックを豪快に決めた!!
渾身の一撃の前にさすがのGENTAROも吹っ飛ぶ!!




続いてGENTAROの腕をフックし、一回転してもぐりこんだ吉田。
ここからブリッジを効かせてGENTAROを後頭部から落とせば・・・
数々の強敵からJICのベルトを奪い取った技である「リバースゴリースペシャルボム」である!
11月20日での近藤博之が出せなかった技、それは体重差を利用して投げ、固める技。
吉田のこの技が決まればベルト奪還は動かなかったが、悔しいことに吉田の腰は・・・
体勢を入れ替えたGENTAROはこだわりのバックドロップからロープに飛んでラリアット一閃!
「これは危ない」と反射的に思ったのだろう、こだわりの技で吉田をなぎ倒したGENTAROであった。

それでも執念はまだ消されていない吉田、GENTAROの不意を突いて延髄斬りを叩き込む!




そこから吉田の丸め込み技連発。
首に飛びついて前方に丸め込むラナ、腕に絡み付いて後方に丸め込む回転エビ固め。
虚を突かれたGENTAROだったが、何とかカウント2で跳ね返していく。
吉田がGENTAROのペースを狂わせ始めたかに見えたが・・・


王者としてこのままおめおめと敗れる訳にはいかない。
逆襲のラリアットで吉田を宙に浮かせてしまう!
ガッチリと片エビ固め、場内の悲鳴が聞こえたのか吉田はカウント2で肩を上げた!


それならばと再度バックドロップを狙ったGENTARO。
しかし丸め込みの連発で着実に王者の精密コンピューターにバグが生じていた。
空中で体勢を入れ替えてGENTAROの背後に回った吉田は・・・




GENTAROの両肩に飛び乗った吉田。
そのまま遠心力でGENTAROの体を前方に回転させ丸め込んでいく。
GENTAROの両肩をマットに付け懸命に押さえ込む吉田・・・
レフェリーのカウントが3回マットを叩いた!!吉田の逆転フォール勝ちだ!!!
○<挑戦者>吉田和則(25分39秒 カズクラッチ2号)●<二冠王者>GENTARO
※第9代JIC、第2代アメリカス・クルーザー級王者GENTAROが二度目の防衛に失敗。
吉田和則が第10代JIC、第3代アメリカス・クルーザー級王者となる。



横たわり勝ち名乗りを上げられる吉田和則、呆然とその状況を見るGENTARO・・・
暫くの間信じられないような表情をしていたGENTAROだったが、意を決したように本部席に向かう。
二本のベルトを持ち吉田の前に歩み寄るGENTARO。
コーナーにもたれかかり再びレフェリーから勝ち名乗りを挙げられる吉田の肩に・・・
二本のベルトをそっと置いたGENTARO。
そしてロックアップのような状態で何やら耳元で話している両者、そしてお互いを認め合う抱擁。
遂に宿敵・GENTAROを破り、自らの腰に二本のベルトが戻ってきた実感が沸いてきた吉田和則。
コーナーに立ち場内の観客を見回していた・・・


肩にベルトをかけ、GENTAROのマイクアピールを聞いていた吉田。
GEN「・・・その二本のベルトさぁ、1年半くらい前か。
ボロボロの状態のアンタ(=吉田)から取って、なぁ。
今日は、ボロボロのアンタに取り返されちゃったよ。
せっかくなぁ、近藤選手、この間そのベルトを賭けて戦って、60分フルタイムはちょっときつかったけど、
これでアンタ(=近藤)と60分出来たんだから、もう手負いの吉田和則なんか楽勝って思ったけどな。
アンタ(=吉田)、20年間栃木を守ってきただけの事はあるわやっぱり。
すげー悔しいよ、すげー悔しいよ。この辺(=こめかみ)がヒクヒクいってるよ。
でもな、本当におめでとう。」と伝えて吉田と握手を交わすGENTARO。館内からは万来の拍手が沸きあがる。
そして何故か、GENTAROの標的はあろうことか・・・

GEN「せっかくよぉ、今日アンタ(=吉田)に楽勝して、
その次の防衛戦はやっくんとやってもらおうと思ってたのによ!!」やっ「いやいやいやいや、誰がやるかっ!!即死だわっ!!」GEN「よく言うよお前!お前昔なぁ、
俺にドロップキックかましたの覚えてるんだよ、俺は!!」やっ「おせわになりました~
ドロップキックかまして速攻逃げたからね、アタイは。」と、そこで隣にいたジャイアント小馬場が・・・
小馬場「ベルト賭けなくていいからシングルでやればいいじゃん。」と火に油を注ぐような事を無責任に言ってしまったもんで・・・
GEN「来い!コラァ!!」やっ「やめてよぉ~(困)、怖いもん!!」と臨戦態勢に入っちゃうGENTARO、逃げ腰になるやっくん・・・でも。
GEN「その辺でやめとけ!」と自ら場内爆笑ムードを一断したGENTARO。
GEN「今の主役は吉田和則だっ!!!」と吉田にマイクを渡すGENTARO。開口一番・・・
吉田「GENTAROに勝ったぞー!!!」
勝利を改めて場内の観客に伝えた吉田。湧き上がる拍手。「おめでとう!」の声も飛ぶ。
吉田「GENちゃんよぉ、近藤、この間のお前たちの試合ほどじゃなかったかも知れないけど、
俺は栃木エンターテイメントにベルト持ち帰ったぞ!!
GENちゃんよ、こんなアウェイに2回も連チャンで来てくれて有難う。
GENTARO、さすが、アンタはすげぇ男だよ!!!」
吉田「ただ一つだけ、GENTARO、お前に言っておくぞオイ!
お前とは二度とやらねぇからなこの野郎!!!」・・・ってあなたまで笑いを取ってどーするんだって(笑)。
吉田「今日は皆さん、どうも有り難うございました!!
正直、技の完成度は70%ほども行ってなかったですけど、
前回の近藤の頑張りを見て、励まされました。
そしてGENちゃん、ホント今日来てくれてありがとう!
皆さん今日、栃木エンターテイメント楽しんで頂けましたか?
ここにプロレスファンは2割といないかも知れない。
みんな美女♂menファンで、ここに見に来たかも知れない。
でも俺たちは、命の続く限り戦いを続けていきますんで、また栃木に遊びに来て下さい!
本当に今日はどうも有難うございました!!」
そして全員をリング上に呼び込んで・・・


まだ何やらGENTAROとやっくんのやり取りが続く中・・・


ジャイアント小馬場による締め、そして恒例の記念撮影会へ。
激しかった試合、腰の痛みに耐えながら戦った30分近い試合。
さすがに吉田の表情に笑顔は見受けられなかった。
しかし栃木のベルトを自らの手で取り戻したという達成感はある。
2011年の栃木エンターテイメントプロレス、EAGLEプロレスの活動はひとまず終わりを告げた。
最後の吉田の言葉には様々な意味が込められていたのではないだろうか。
2割と満たないプロレスファン。
だが、栃木エンターテイメントやEAGLEはそれでもいいのではないだろうか。
「ゲストを見に来た」「吉田和則を見に来た」
そんな観客がいつしか「プロレスファン」、いや、「とちプロやEAGLEのファン」になってくれる。
お祭りを一緒に楽しもうと思って足を運んだら面白かった。
何かイベントをやっているようなので、試しに行ってみたら結構楽しめた。
またここでやるみたいだから、次も来てみようかな?
その繋がりが大きな輪となって会場の雰囲気を盛り上げる。
それでいいのではないか?
「プロレス」という概念から離れ、一つのライブ空間を一緒に楽しむ。
勿論リングに上がるレスラーは一本芯が通っていなければならない。
プロレスを通じて、人々が心から楽しめる、熱くなれる、そんな空間を共用したい。
栃木エンターテイメントプロレス、EAGLEプロレスはそんな「夢」と共に来年も羽ばたく・・・

・・・おまけ

テーブルクラッシュプランチャで大破した机・・・