理論的に正確な寸法(四角で囲まれた寸法)の入れ方 | Solidworksユーザー日誌

理論的に正確な寸法(四角で囲まれた寸法)の入れ方

今回は理論的に正確な寸法の入れ方について書きます。


理論的に正確な寸法」とは、"Theoretically exact dimension"の訳で、専門用語で「理論的に」「正確な」「寸法」という言葉以上の意味がある言葉です。


今回は理論的に正確な寸法の使い方ではなく、単純に「どうやって寸法を四角で囲むか」のやり方について書きたいと思います。


まずは図面のDimXpertから。図面の場合は、公差の設定を「ベーシック」にすればできます。


SolidworksユーザMEのこんなのありましたブログ-図面のTED

んで、なんで理論的に正確な寸法がベーシック??


すごくわかりづらいですよね。


これは先日のエントリ でも書いたのですが、おそらく、


ASME Y14.5では理論的に正確な寸法のことを"Basic dimension"と呼んでいることに起因します。


Y14.5M:1994の日本語訳版(JSAの日本語訳版が存在)では何と訳しているか知りませんが、少なくとも正式な日本語版はなく、日本で利用可能な正式な規格(JIS)では「理論的に正確な寸法」という言葉を使っていますので、ここを「ベーシック」と訳したことは、私は誤訳だと思っています。


そしてもっとわからないのが部品のDimXpert


まずは入れ方から。
部品のDimXpertの公差設定には、ベーシックというのはありませんので、同じやり方で四角い寸法はできません。


そこで。


まず、オプションの設定を変更します。


寸法を入れる部品のオプション→ドキュメントプロパティ→DimXpertのところの幾何公差のなかに、基準寸法という項目があります。

ここの「基準寸法の作成」にチェックを入れます。





SolidworksユーザMEのこんなのありましたブログ-Dim-Op



基準寸法?


ま、まあその話はあとでします。


この状態で、理論的に正確な寸法が必要な幾何公差(たとえば、位置度公差)を入れると、勝手に寸法が入ります。


SolidworksユーザMEのこんなのありましたブログ-幾何公差を入れる

なにはともあれ、四角い寸法、できました。


オプションでチェーンを選択したのに全部端から出すところとか、見づらい(ちょっと並べなおしましたけど、最初は全部右のほうの寸法がそうであるように、ぐじゃぐじゃに並んでます)とか、


突っ込みどころは他にもあるのはあるんですが。


なにはともあれ、四角い寸法です。


さて、話は少しもどりまして、オプションの項目「基準寸法」について。


こんな名前で、これが理論的に正確な寸法に関する項目だなんて、わかるわけがありません。


そうです。もう皆さんお察しのことと思いますが。


これってもしかして・・・


図面のDimXpertではY14.5のBasic Dimensionを「ベーシック」と訳してましたが、部品のDimXpertでは、さらに趣向を変えて「基準寸法」と訳してしまったのでは・・・?


わかるか!!!


まあ言語として意味するところは間違ってないですけど・・・
すでに良く知られた専門用語なので、違う言い方されるとわかりません。


これは完全に誤訳だと思っています。


図面のDimXpertも、部品のDimXpertも、「理論的に正確な寸法」という項目へ変更するのがただしい翻訳と思います。そうすると、やり方に迷う人は格段に減るはずです。



追記: Basic Dimensionsの日本語訳が基準寸法であることについて

ISO129 で定義されているBasic Dimensionsに対応する日本語訳(JIS Z8317(MOD))は「基準寸法」です。ただしASMEの意味とISOの意味は違います。今回紹介した内容はあきらかにASMEのものです。

参考:JIS Z8317での基準寸法の定義

3.3.2 基準寸法、寸法数値(basic dimension, basic size, dimensional value)
指示された単位で示し、線と適切な記号によって図面上に示された寸法数値。