HTMLは、予め用意されているタグしか利用できませんが、XMLは、文書それぞれの構造や性質(使い道)に即して、タグを自分で定義して使うことができます。」

こういう言い方はまだしも(これでも衆愚本っぽいが。下線部は引用者がわざわざ加筆してあげたものなので)、「自由に」とか「勝手に」とか「好きなタグを」などと書いているバカ本が腐るほどある(いまに始まったことではないが)。

こういう書き方されると「だから何?」ってことになるのは必定。だいたい記法はHTMLとそっくりだが、その記法にきちんと即して書いたXMLファイルをブラウザに表示させても、エディタで書いたまんまを表示するだけだから、ますますなんのこっちゃってことになる。

OSのAPIを手なづけて、それ上を走るアプリを作るプログラミングは、「書いたら動く」。何かが起きて、書いた物とは違う世界が現れる。HTMLはそういうプログラム言語ではないが、いろんな要素タグで、ここに書いてるようなテキストの要所要所をマークアップした上でhtmlファイルにしてブラウザに読ませると変化した世界が現れてくれる。レンダリングエンジンのおかげだ。だが、XMLにはそういう表示ソフトはないし、XML自体そういう機能はXSLという自分の応用言語にまかせている。

CSS とどっちが先だったか忘れたが、 XMLにCSSかませて ブラウザにそれなりの「変化」のわかる表示をすることはできる。

だが、それではわざわざXMLを使うありがたみまではまだ理解できない。

XMLのありがたみは、動くテクスト を作れるところにある。おもいっきり飛躍した例で言えば、新聞をパラパラ読みして、とりあえず記憶に残った見出しの記事だけ表示してよ、ってことがXMLを使えばできるようになる。

いったん印刷された固まった内容や、固まったWebページを意味の単位にばらして、所望のかたち、構造をもつものに再構成できる。「そこだけ読みたい」とか、なになにちゃんが出てくる映像だけ全部持ってきて!っとかいう要望に応えることができる。

RSSが始めたのはその序の口。

バロウズのカットアップに近いこともやろうと思えばできる。
一度固めた小説のストーリーを倒叙法のようにあたまとお尻をひっくりかえして、複数バージョンつくる、というかそのように見せることもできる。まあこんなことにXMLを使ったバカはまだいないが(笑)。

そういうもんなんだよ。
ってことをわかってくれないのがWeb野郎に多い。

CSSだなんだ、騒いでんじゃねえ(黙って、さくさく使ってくれればそれでいいから。ページ軽くなるし、CSS自体は世の中のためになるんで)。

指定紙と写植オペレータと製版技師の時代にエディトリアルデザインやってた人にはわかりやすい話なのにね(てか当時がんばってデザイナーと組んで仕事バリバリやったタイプの編集者のほうかも)。

ただXMLはそこまで。DTD、このドキュメントはこういう部品のセットで出来ていて、ここまでばらして、こうもああもしていいけど、そうはできないよみたいな部品と部品の関連を定義するやつが超重要。スキーマ。これないとプロセッシングにもってけないので。あとはスキーマで定義されたDOMっていうオブジェクトをASPとか、JSPとか、いまならPHPとかで動かすのが、XMLアプリ全体の仕事の流れっつうものなのだが。

どうもプログラム屋さんにも理解しづらいとこがあるらしく、なんだかなあ、な感じ。

データベース屋にはまだセンスあるのがいるかも。

オブジェクト指向わかってればもっとスムーズだろうが、文書をオブジェクトとして扱う、というところがコツっと来るまでにけっこう時間がかかったりするらしい。

いま一番いかんのは、Web標準たらを金科玉条に、CSSCSSいってるくりえちぶくりえいちぶした人ら。Flashのスクリプトなんてすっげえずるいし。

一番口聞きたくない連中である。

「動かしてみたい」という気持ちのあるやつと仕事したいよ。

念のため。 「動く」ってのは、文字が踊ったり、点滅したりってことじゃないんで。そこんとこよろしく。



注釈)SGMLのアプリケーションとしてのHTMLを改めてXMLアプリとして組み直したのがXHTMLであることは周知のとおり。

何がいいたいかと言えば、XHTMLのありがたみも標準なんてのは二の次であって、XHTMLで記述しとけばclass属性なんかを持たせた要素だけ取り出すとか、そういう操作ができる、つまりテクストの「意味構造を動かす」ことができるってとこにあるわけで。そのためにstrictなんてのは規定されているので。それで構造を動かすプロセッシングをスムーズにしようということなんで、むしろ機械への思いやりと言っていい。むろんそれがひいては人様への思いやりとして返ってくるのではあっても。そこを抜かしたバカ議論が大杉やしないかということ。ここで言いたいことって、実はこれ、オフラインでハイパーカードが近いことやってたことなのだが。後日。 [参照元に戻る↑]