ということになったようだ。
「サイバー大学」は、今年1月だったか経済特区から立ち上がって、初めは「日本サイバー大学」という仮称だった。
いろいろと文科省あたりから、チェックを入れられて、募集人員を当初予定されていた規模の半分近くに縮小するなど、控えめな出発をするようだ。
お役所のくくりでは、通信教育課程ということになっている。私学では老舗の法政大学が運営するものなど、通信制大学は古くから存在するが、そういう通信制と異なり、このサイバー大学にはキャンパスがない。したがって教室もない。
生の対面授業はまったくなく、サーバに置かれた講義コンテンツに学生はインターネットを介してアクセスし、受講する。
全講義オンデマンド方式の大学が誕生することになる。
ライブは、ないようだ。ライブだとオンデマンドではなくなる。ライブを保存して再出することは当然できるが、経営上それでは無駄が多くなる。
きちんとスタジオで収録した音声付き動画ファイルに、適切な講義資料などを同期させて完成度の高いマルチメディアな講義コンテンツを作成するほうが高いクオリティを保持できる。
4年制大学として認可されているので、きちんと単位を取って卒業すれば、学士、大卒の「資格」が与えられる。
スクーリングも何もない。昔ながらの「大学生活」というものは、この大学には存在しない。
高校生が志望大学にすることは、ごくごくまれだろう。そこは放送大学にも似ている。スクーリングがないことを除いて。
さらには、資格取得志向を明確に打ち出した「IT総合学部」と「世界遺産学部」の2学部制になっている。いずれは同じ方式で大学院も設置していくのではないか。
関係ないようだが、旧7帝大には、「研究型総合大学」「研究型大学」という言い方で自己規定をする傾向が出てきている。
法科大学院などに代表されるプロフェッショナルスクールの「専門職」型高等教育機関との対比だろう。
関連して、今回サイバー大学を含め11の大学が来春開校に向けて認可されたが、サイバー大学以外は医薬看護系と教育系の単科大学になっているのも時代を感じさせる。どちらも資格取得型である。
さらにさらに、サイバー大学は、7番目の「株式会社立」の大学になる。他の10の大学はすべて学校法人。瀬戸内海ぞいに立地するのに、環太平洋を名乗る大学(笑)も学校法人だ。どうでもいいことかも知れない。事業として株式会社が企画をする場合には、しかし重要なことであるはずと思える。ネーミングはサービス業において、実に重要である。その点、サイバー大学が当初の「日本」をはずしたのは賢明な選択だった。
何が言いたいのがわかりにくいエントリになったが、ある新聞が書いた「全入時代なのに11も大学が新設されるなんて、なんということだ」といった、実に愚かな論調に比べれば、実にまずすべての認可された大学は健全であるということ。事業意志として。
その上で、学校法人立と株式会社立の比率が、いまだに十対一であるということ。
そして、これをいわゆる米国流の「民営化」の論理ではない視点で眺めうるロジックの確立が必要であるということ。
このことを今回の認可は示唆してくれているように思える。同時に、新聞に代表されるように、「教育」というものについての、この国の民度は、実に低いのだということも。
言い忘れた。サイバー大学を運営する会社は「日本サイバー教育研究所」。サイバー大学のウェブ はすでに立ち上がっている。