これはジャック・デリダの遺著となった本の邦題である。

ジャック・デリダ
生きることを学ぶ、終に

これまで死の間際で語り下ろされた本は何冊か読んできたが、偶然だろう、どれも癌に命を奪われた人が語り手になっていた。


またもや【未読書評】になるが、この本については、特別な意味で既読でもある。

版元による内容ダイジェストが完璧であるからだ。


――「まるで、追悼記事のようだね」と彼はつぶやいた。

2004年10月9日の夜、とうとう癌は思想家の生命を奪った。その半年前、自宅で応じた最後のインタビュー「私は自分自身との戦いのさなかにある」は、『ルモンド』紙8月19日号に掲載され、世界中の読者に、デリダの思考と語りの健在ぶりを示した。自著について、アメリカの覇権について、ヨーロッパの精神について、言葉をふりしぼる哲学者による、この遺言の完全バージョン日本版を刊行!ここでのデリダはいつものように、そしてかつてなく率直に語っている。

「ひそかに機会をうかがっている死を享楽することと悲しむことは、私にとっては同じことなのです。自分の人生を思い返してみると、自分の人生の不幸な瞬間さえ愛する、そしてそれを祝福するという幸運を持っていたと思いたくなります。ほとんど全ての瞬間、例外はありますが。幸福な瞬間を思い出してみると、私はもちろんそれを祝福しますが、同時にそうした瞬間は私をしについての思考へ、死のほうへと駆り立てるのです。なぜならそれは過ぎ去ったこと、終わっていることだから・・・・・・。」(本書より)


「私が「私の」本を残すとき、私は、出現しつつ消滅してゆく、けっして生きることを学ばないであろう、教育不能のあの幽霊のようなものになるのです。」最後の対話。(
内容「BOOK」データベースより)


原著のタイトル--------さよなら、デリダ!