拙速(せっそく)の意味を再考する
拙速(せっそく)と言う言葉があります。辞典によると、
「できはよくないが、仕事が早いこと。また、そのさま」
という意味です。
ネットの世界はスピードが勝負なので、巧遅(こうち)よりも「拙速」を心がけた方が良い、と、よく言われています。
「巧遅」を意識すると、
「出来ばえはすぐれているが、仕上がりまでの時間がかかる」
という状態になり、ビジネスチャンスを逃してしまう場合もあるわけです。
「仕上がりまでの時間がかかる」状態ならまだマシなほうで。
へたをすると、「準備」や「検討」に時間をかけているうちに実現への意欲が薄れてしまい、結局のところ「やらない」という結果に終わってしまうことにもなりかねません。
ここで思い起こしたいのが、砂上の楼閣(さじょうのろうかく)という言葉です。
見かけはりっぱだが、基礎がしっかりしていないために長く維持できない物事のたとえに使われます。
または、「実現不可能なこと」を表現するときに使います。
「拙速」「巧遅」のどちらの場合でも、「砂上の楼閣」に見えてしまう、あるいはそういう結果に終わってしまうことがありえます。
そんなケースでは、「砂上の楼閣」にはネガティブなイメージがつきまとってきます。
ところが・・・・・
「砂上の楼閣」をポジティブに捉える発想があります。
空中に楼閣を建てても無駄骨には終わらない。
楼閣は空中に建てるものだ。
さあ、その下に土台を建てよう。
「Walden(ウオールデン)森の生活」の作者ソローの、言葉です。
実現不可能に見えても、とにかくスタートすること。
必要な裏づけは、あとから用意してもいい。
これが「拙速」の本当の意味ではないでしょうか。