誰も好きで入りたい訳ではない、閉鎖病棟。

私は病気が拗れた場合タチが悪く、通算2年弱は入っている。

大抵いつも警察や救急から文字通り担ぎ込まれる緊急入院で、

始まりはいつも個室。ただの牢獄から治療と呼べるのかよく分からないものがスタートする。

 

牢獄といっても個室は個室。完全プライベート空間と思いきや、監視カメラはこちらを覗いている。

ちょっとこちらから開ける事のできない、取っ手の無い重い鉄の扉。

開かない窓どころか辛うじてある通気口。

後は寝るスペースと、自殺防止の為の水が張らない和式トイレ、勿論こちらでは流せない。

イメージ通りの独房を想像してもらえればいいと思います。

 

といっても暇さえクリアできれば、近隣から暴言を吐かれながら全力で歌うカラオケや、

ストレス発散に丁度いい、何度蹴ってもびくともしない鉄の扉など、

ちょっといい所もある。

 

それに、寝てても時間になればお楽しみの食事が勝手に運ばれてくる。

こちらから開ける事のできない、配膳の小窓から、看護師がさも申し訳なさそうに、

雑に配給にやってくる。

ここで注意が必要なのは、年中温度管理された古い建物は、ゴキブリがよく出る。

配膳された食事の横をゴキブリが散歩しているのに遭遇したのは、

一度や二度ではすまされない。

 

閉鎖病棟の事を書こうと思ったのに個室の事を書き始めると、止まらない。

まぁ。なんだかんだ言っても、住めば都である。