ニートレスキュー17 小型端末 | 心象風景

心象風景

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 道行く人を捕まえて一体現代人はどのような仕事をしているのかを尋ねたい衝動にかられたがそれはやめておく事にした。人から伝え聞くよりも現実を目撃したかったからだ。
 そういえば、街中に広告看板というものが全く見当たらない。全く新しい広告システムが確立しているのか、それとも広告の必要性が無くなったのか。
 少々疲れてきたので缶コーヒーでも買って歩道に据え付けられているベンチに腰掛けようと思った。自販機の前にやってきたが、自販機には紙幣の挿入口も硬貨の挿入口が無い。
 もしかすれば、さっき駅で購入したパスで買えるかも知れない。自販機のモニターには商品画像とボタンが映し出されている。タッチパネルになっているのだろう。缶コーヒーのボタンを押した。
 選択した商品の画像を残して他の画像が暗転した。ここにカードを当てるよう指示する点滅的なシグナルが発生するのを期待したが何も変化が無い。
 パスで買えるかも知れないという予想は甘かった。隣の自販機に今まさに人が近づき商品を買おうとしている。僕はその様子を横目で凝視した。"客"はタッチパネルに指で触れて直後にもう片方の手に持っている小型端末を自販機に近づけた。聞き覚えの有る、中身が詰まった缶が転がる音がして客は取り出し口から商品を取り出した。
 大昔から有るオサイフケータイを利用したのだろうか。そう早合点してはいけない。とにかくあの小型端末が有れば買い物ができるようだ。小型端末を入手しなければならない。小型端末が売られている店を探す事にした。
 どういう理由なのか、緑豊かな公園が多く見受けられる。ヒートアイランド現象を防止する為なのだろうか。景観もいい。一石二鳥ではないか。無理やり公園を増やしたのか、土地が余っているのか。
 食べ物店や洋服店などが通り過ぎ、やがて小型端末販売店が見えてきた。店内に入り、商品ディスプレイを見渡す。全ての商品が一律100エイジアである。通信費から端末料金を取る仕組みなのだろうか。
 店員に声をかけ、一番古いタイプのものでいいから欲しい旨を伝えた。店員は4台の端末を持ってきた。黒、白、赤、青の4色の中から好きなものを撰ぶという事である。黒を選んだ。店員は100エイジアを要求してきた。僕はサイフから古い千円札を取り出し店員に差し出した。店員は優しく且つ冷静に、現在この紙幣は流通していない事と銀行に行けばエイジアに換金できる事と銀行の場所を教えてくれた。
 駅員は何故流通していない通貨とパスを交換してくれたのだろうか。まぁ、後から換金するのだろう。とりあえず銀行へ向かう事にした。