植物の発芽毒って何?
玄米 ・ひえ・あわ・きび・大豆などの雑穀をはじめ、あらゆる植物の種子には、その子孫を残すために様々なメカニズムが働いています。その因子がアブシジン酸やフィチン酸です。
アブシジン酸:通称ABA(abscisic acid )
植物は水分を補充できない乾燥状態に長期間さらされると「アブシジン酸」を出します。
アブシジン酸(ABA)は発芽抑制因子として、その植物が適切な季節に芽が出るよう、また栄養素が外に漏れないよう、発芽を調節している植物ホルモンです。
そのアブシジン酸が、玄米の糠層には含まれています。
残念ながら植物にとっては生き延びるために必要なアブシジン酸が、人体にとっては毒となることが昨今わかっています
アブシジン酸を人間が摂取すると、細胞にある受容体(Gタンパク質受容体複合体)を刺激し、白血球に含まれる免疫細胞(顆粒球)を活性化させ、活性酸素を大量発生させてミトコンドリアに悪影響を与えるとされています。
ミトコンドリア
ミトコンドリアは細胞の中にある小器官の一種で体温維持など重要な役割を担い、「エネルギーを生み出す工場」とも言われています。
エネルギー = 熱 です。
アブシジン酸によってミトコンドリアの活動が鈍ると、体の機能が低下し、体温も低くなっていきます。つまりミトコンドリアが衰えると冷え性になります。
低体温は免疫力を下げ、病気やあらゆる感染症にかかりやすくなります。細胞がエネルギー不足になるので老化が早くなり、筋肉もなくなっていくので痩せていきます。また全ての代謝に影響してくるので、ホルモン分泌もおかしくなります。
抵抗力を大きく損なう要因ともなるので、ガンをはじめ様々な病気を招きやすくなる可能性があります。
<ミトコンドリアが受ける悪影響>
低体温になる
体内酵素の働きが鈍くなる
免疫が低下する
浮腫み・アレルギー・生理不順・慢性疲労・肺炎・気管支炎・肝炎・不妊症・痛風・糖尿病・膠原病・高脂血症など様々な症状を引き起こす要因となる
フィチン酸
フィチン酸は、イノシトールにリン酸が結合することによってできるリン酸化合物の一種で、ビタミンBの仲間です。
フィチン酸にはミネラルと強く結合し、複合体を形成する性質があります。特に、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、カルシウムに結合しやすいといわれています。 また食材に含まれるだけでなく、人間の細胞を含め、あらゆる動物の細胞内にも存在しています。人間では心筋や脳、骨格筋などに多く含まれており細胞機能を制御する役割を担っています。
フィチン酸の最大の特徴として、強力な排出作用が挙げられます。
<最大の特徴>
フィチン酸には強力な排出作用があります。
排出作用とは、体内から毒素を排出すること(解毒作用)を意味し、体内から毒素が出ていくと病気の症状が消えていきます。
そのため、特に大病を患った方の中には玄米菜食主義の方が多いと聞きます。(私の毛孔性角化症が治ったのはこの効果かもしれません)
ところが体内の毒素とミネラルは一緒に存在しているため、玄米食は体内毒素を排出すると同時に、たくさんのミネラルをも排出してしまいます。 玄米に含まれるフィチン酸は体内でほとんど消化されず、生体内に毒素(老廃物)がなくなると、たくさんのミネラルを引っ張り出していきます。
<生体内に老廃物がなくなると…>
プラス電子をもったミネラルと、強いマイナス電子をもったフイチン酸塩とが結合する
フイチン酸塩は分子量が大きいので腸からは吸収されない
体内では栄養素として有効作用されないまま糞便として排泄される
ミネラル欠乏体質になる
様々な病気にかかりやすくなる
<ミネラル欠乏とその症状>
ナトリウム | 倦怠感、食欲不振、嘔吐、筋肉痛、意識障害、熱痙攣 |
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マグネシウム | 循環器疾患、足がつる、目の下が痙攣、片頭痛、突然死、心筋梗塞、暑がり |
リン | 骨疾患、副甲状腺機能亢進症 |
硫黄 | 皮膚炎、爪や髪の発育障害、解毒力の低下、糖尿病 |
塩素 | 食欲不振、消化不良 |
カリウム | 脱力感、食欲不振、不整脈、夏バテ |
クロム | 耐糖能低下、糖尿病、動脈硬化、角膜疾患、動脈硬化症、耐糖能異常呼吸商低下、体重減少、末梢神経障害、遊離脂肪酸増加、窒素平衡の異常、代謝性意識障害、高コレステロール血症 |
マンガン | 骨病変、成長障害、骨の発達が悪くなる、傷が治りにくい、疲れやすい、血清コレステロール低下、血液凝固能低下、毛髪赤色化、皮膚炎 |
鉄 | 貧血、慢性頭痛 |
コバルト | メチルマロン酸尿状、悪性貧血 |
銅 | 貧血、毛髪異常、白血球減少、骨異常、成長障害、白髪、シミ、シワ、動脈硬化 |
亜鉛 | 成長障害、食欲不振、皮疹、創傷治癒障害、鬱状態、免疫能低下、味覚異常、生殖能異常、催奇形性 |
セレン | 心筋障害、筋肉痛、心筋症、爪床部白色変化 |
モリブデン | 成長遅延、頻脈、多呼吸、夜盲症、視野暗点、易疲労性、昏睡、痛風、失見当識 |
ヨウ素 | 甲状腺腫、 甲状腺機能低下症 |
今回、玄米について調べていると『フィチン酸の排出作用を期待して玄米を食べるとしても、長くて数ヶ月〜半年くらいで止めるのが理想的だ』という意見を多数目にしました。
私も自らの経験からその意見に賛成です。
フィチン
フィチンとは、フィチン酸に金属イオン(亜鉛やカルシウムなど)が結合したものです。
フィチンは玄米以外にも豆類や未精製の穀物に多く含まれていますが、不溶性で人間の体内では吸収されづらいとされています。
名前が似ていて紛らわしいですが、フィチンとフィチン酸は異なる物質です。
フィチンは酵素(フィターゼ)によって金属イオン(亜鉛やカルシウムなど)と分解され、フィチン酸に変わるとされています。
玄米に元々含まれているのはフィチン酸単体ではなく、フィチン(フィチン酸+イオン金属の複合体)なんだそうです。
本来、植物の胚芽部分は「次の新しい生命の芽を出すための栄養源」として、身を守るための強いアクを持っています。それを知ってか知らずか、雀はたくさん飛んできても決して稲を食べ尽くすことはないそうです。
私たち人間が食べている玄米は、その「次の新しい生命の芽を出すための栄養源」です。
玄米に関しては賛否両論、様々な意見があります。
研究者の間でも意見が割れているようで、どちらが正しいとも間違っているとも言えないのが現状です。
- 種皮の残留農薬に気をつける
- 大量の野菜や牛乳を摂取してミネラルの欠乏に陥らないように気をつける
- 玄米を発芽玄米にして食する
発芽玄米については次回に書きたいと思います。