みんさん、こんばんは。今日は、事業主返還資産額についてお話をしたいと思います。
この「事業主返還」と言葉をご存知でしょうか。

事業主返還資産額とは、勤続3年未満の人が退職(資格喪失)をした場合に、会社が拠出した掛金を
会社に戻させる規定のことを指します。ここでのポイントは、「勤続」であり、「加入期間」ではないことです。従って、新たに確定拠出年金制度が導入される場合、導入された当時既に勤続3年以上の方は
この規定の影響を受けないこととなります。ここは「勤続」と「加入期間」を間違えやすいのでみなさんご留意ください。確定拠出ではほとんどの規定が「加入期間」で見ておりますが、ここだけは勤続で
規定がされています。

では、なぜ、「勤続」なのか?というと、そもそも退職金制度には功労加給的な意味合いがあるものだから、低勤続で退職した人に対して退職金(ここでは掛金)を支給する必要はないという発想からきています。アメリカの401k制度でもこの規定はあり、アメリカでは5年であったのですが、日本では退職金の支給率がゼロとなっている期間は3年程度で、また、5年では長すぎるという議論の中で、3年が決まったものと言われております。

具体的に、どんな設計になるかと言いますと、例えば、次のような例があります。

ゞ仟械廓未満は一律ゼロとする。
勤続年数に区切って設定する。
 例)勤続1年未満の退職 100%掛金を返還させる。
   勤続2年未満の退職  50%掛金を返還させる。
   勤続3年未満の退職  30%掛金を返還させる。

ここまで話を聞いて、こんな疑問が沸きませんか。

Q1.掛金を返還するのは分かったが、運用中に増えた収益(利息)部分はどうするのか。

Q2.制度移行で持ち込んだ分はどうなるのか。

まず、Q1ですが、運用によって加入者自身が得た収益は返還の対象となりません。
従って、自分の資産として次の確定拠出年金へ持ち運ぶことができます。

次に、制度移行で持ち込んだ分ですが、この部分も返還の対象外となります。これは制度移行として持ち込んだ額は過去の勤続に対して支給された額であり、既得権であるからです。これを減額してしまうと既得権侵害となりかねません。

さらに、こんな質問も良く出てきます。DCと前払退職金の選択制で加入資格を定める場合に、

Q3.DC掛金は事業主返還されるのに、前払退職金は返還できないのか?(返還しかくてよいのか?)

Q4.懲戒解雇した場合には事業主返還の取り扱いはどうなるのか。

まず、Q3ですが、確かに、前払退職金として受け取った方が得になるではないか。という話があると思います。しかし、これはそのとおりで、不公平なんですけど、今の仕組みでは前払退職金を返還させることはありません。理屈的には、退職金が一部あれば退職金、または最終給与で退職時清算などということは考えられますが、実際にそうしている会社はないようです。

次に、Q4ですが、懲戒解雇をした場合には、事業主返還を掛けることはできません。
これは、事業主返還を規約で規定する場合に、就業規則のどの退職事由(条項)に該当した場合と
するかを決めるのですが、その際の基準は会社都合、死亡退職と言ったものが除かれ、自己都合の場合
とされているからです。懲戒解雇は「解雇」であるから自己都合ではなく「会社都合」になってしまうんですよね。最近、懲戒解雇は結構発生しているようですので、企業担当者への説明の際には要注意が必要です。

なお、本日の話の最後に、「3年未満」という数字についてみてみたいと思います。
私は、この「3年未満」という数字は、ぜひ、脱退一時金の「3年以下」とセットで覚えていただくのがよろしいかと思ってます。事業主返還とくれば「勤続3年未満」、脱退一時金とくれば「通算加入者等期間1ヵ月以上3年以下」というように、勤続と加入者等期間、未満と以下というのを意識していただければと思います。

では、また。