胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜内の細胞が、何らかの原因でがん細胞になったものです。細胞の分類としては、組織型(顕微鏡で観察したがん細胞の外見)のほとんどが腺がんで、分化度は大きく分類すると、分化型と未分化型に分けられます。同じ胃がんでも、細胞の組織型や分化度で治療方針は異なります。
胃がんは、粘膜内の分泌細胞や、分泌物を胃の中に導く導管の細胞から発生します。はじめは30~60μmの大きさで、年単位の時間がかかって5mm程度の大きさになるころから発見可能になります。そのため、胃がん検診などで見つけられる大きさになるまでには、発生から何年もかかるといわれています。
進行するに従い、がん細胞は胃の壁の中に入り込み、全体を包む漿膜の外に出て、近くにある大腸、肝臓、膵臓などに浸潤します。この外方向への進行の程度は、深達度(しんたつど)と呼ばれています。がんの種類によって、胃の内側へも突出するように進行するものと、水平方向に広がるもの(表層進展型)があります。
胃がん発生については、多くの研究が行われており、いくつかのリスク要因が指摘され、喫煙や食生活などの生活習慣や、ヘリコバクターピロリ菌の持続感染などが原因となりうると評価されています。
食生活については、塩分の多い食品の摂取や、野菜、果物の摂取不足が指摘されています。また、ヘリコバクターピロリ菌については、日本人の中高年の感染率は非常に高く、若年層では低下していますが、感染した人の全てが胃がんになるわけではありません。現在、除菌療法が胃がんにかかるリスクを低くするという研究結果が集積されつつありますので、感染していることがわかれば、除菌療法が推奨され、定期的な胃の検診を受けることが勧められます。感染の有無にかかわらず、禁煙する、塩や高塩分食品のとり過ぎに注意する、野菜、果物が不足しないようにするなどの配慮が重要となります。