私がタイピングが出来るようになったのは卒論のおかげだ。

卒論は原稿用紙100枚程度。最初はそれを手書き清書する予定だった。当時はパソコンよりもワープロ優勢の時代。私はワープロをまともに使えない。キーボードの文字入力やワープロ編集の仕方を覚える暇があったら、その時間で手書きすればいいじゃん、と思っていた。

ところが締め切りが迫るにつれ、なんだか気持ちが変わってきた。原稿用紙100枚というのは、私にとって今までに書いたことがないくらいの文章量。文章構成を修正するには、手書きだと最後にエライ大変なことになる!清書の途中で気が変わって、新たな文章を差し込もうなんて考えた時にはっ。

文章を修正することを考えるとワープロの方が便利、ならタイピングを覚えてしまえー!と、ほとんど勢いでワープロと格闘し始めた。あれは締め切りの3ヶ月程前かと。

富士通オアシス。父が年賀状の宛名印刷で使っていたもの。

思い立ったその日から、私のワープロとの格闘が始まった。

やり始めたら、割と簡単にタイピングは体で覚えてしまった。親指から小指まで、きちんとした指使いで、みるみるタイピングの速度も上がっていく。おおーあたしってば天才?!と自画自賛。キーボードで文字を打つ作業が、単純に面白く楽しかった。なんだ、こんなことなら早くワープロ触っておけばよかったと思った。

タイピングを労せずできるようになったのは、長年エレクトーンをやってきたおかげであると思う。幼稚園の頃からエレクトーンを、高校時代にはバンドでキーボードをしたり、声楽のピアノ伴奏などをやっていた。10本の指全てをある程度は自分の意図するように動かすことができる。

今の時代、読み書きそろばんならぬ「読み書き鍵盤」だと私は思っている。

鍵盤を弾くことができれば、パソコンのキーボードもさして苦労せず使えるようになるだろう。うちの子も、ピアノかエレクトーン、鍵盤ものは必ずやらせようと思う。途中でやめちゃってもいいからさ。

あとね、年頃になって音楽に目覚め、「バンドやりたい!」って思った時には、「ああ、昔ピアノやってて良かった~。かーさん、ありがとう。」って絶対思うわけよ。なーんて、勝手に我が息子がバンドマンになるのを妄想している親ばかな私。

うちのダンナは3本指打法。鍵盤は弾けない。「ふふふ、やっぱ5本指でちゃんと打たんといかんよー」と言う私に、「ふん、3本指でも打てりゃぁいいんだよ、打てればっ。」と返してくる。まあ、それでもいいのか。

かくして、私はタイピングの技を身につけた。

ワープロならば、プリントアウト直前まで編集ができる。原稿用紙100枚の清書はやっぱ大変だろうからなぁ。楽ちん、楽ちん!

・・・と思っていたが、締め切りが近づくにつれ、「ワープロが壊れる」とか「フロッピーが壊れてデータが読めなくなる」という類の悪夢にうなされることになる。どっちにしろ卒論は大変なのであった・・・。