桜
狂い咲きの桜の花を見つけた
あの日にはもう帰れない
そばにいたはずのあなたはもう
桜の頃には遠くの街に行ってしまう
春なんて来なくていいのに
きっとまた春が来て桜が咲く
心がきっと空っぽになって
あなたを恋しく思って
この桜の木を眺めて
いつものように「綺麗だね」と。
ほんとは春が来てほしいけど
桜を想えば胸が少し苦しくなる
春なんて来なくていいのに
きっとまた春が来て桜が咲く
当たり前のような顔をして朝が来るように
きっと新しい街にも桜が満開に咲くのだろう
ありがとう。おとん。
金谷 剣志