Twitterでもチラっと書いたけど長くなりそうなのでこちらでも。
【なぜ舞台を見ようと思った?】
まず、きっかけはファントムチューニングの終演後の面会で、
村上かおるちゃんと話したことから。
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村「次の舞台もハゲ(坊主)なんですよ」
俺「よし行きましょう」
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というのがきっかけ・・・ すいません、嘘です。
転校生革命での最後の挨拶、ぬらりひょんの熱演から。
またチラシをみると演出にへんた・・加藤君の名前と、
共演者にきんくぼちゃんの名前を見つけたので、
そんじゃま、いっちょ見てみますか、と。
【開演前】
時間に余裕をもち、13:32頃にはKASSAIに到着し、着席。
したところ、まさかの最前ドセン。え?マジで??
確かにS席とかはなかったけどマジで??
チケットには背もたれナシとなってたけど、
ちゃんと背もたれアリの椅子だったのも嬉しい。
(おそらく、収容人数の関係で、
観客が多い講演ではナシになると思われる)
舞台装置としては転校生革命のときより舞台を広めに拡張され、
開演時の初期配置はナズナの花瓶が一つ。
流れる音楽も静かめ、とシンプルな感じ。
主宰の青山さんが開演の挨拶をされ、
○組恒例であるらしい拍子木を合図とした拍手で、
いざ開演!
- 続く -
ウソですちゃんと書きます。 石は投げないでください。
(注:一回しか見ていない上に、
見たのは二日前なのでうる覚えで書いてます)
【プロローグ】
導入は花瓶の前に立つ後姿の女性によるモノローグ。
王道中の王道でしょう。
-戦時中、ある兄弟が「奇跡のような時間」を過ごしていました-
みたいな感じの入りから、舞台は暗転、
あけたところにいきなりの特攻シーン!
・・・が、しかしここで違和感を感じる。
それもそのはず。この話の「仕掛け」の一つが、
そこにあったのだから。それはもう少し後でわかるお話。
【起 : 不動家の家訓】
再び暗転し、食堂?のおばちゃんと、
4人の女学生の会話からの序章スタート。
まずは女子学生達の自己紹介を兼ねた掛け合いの後、
おばちゃんから物語の主役、
「不動四兄弟」のことについて語られる。
『あの兄弟には、上官にはとても聞かせられないような、
笑っちゃうような家訓があってね--』
暗転し、「イチ、ニ!」の掛け声とともに登場する四兄弟。
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[一つ、欲しがりません勝つまでは
つらいときには笑いましょう 笑顔が幸せ呼んでくれます]
欲しがりません勝つまでは、
は歴史の授業でも聞いたような有名なフレーズ。
後半は戦国無双の孫市も言ってた。
「悲しいからこそ、笑うのさ」ってやつ。
[一つ、今この瞬間を大切に。
次の機会はもう来ません 迷わず前に進みましょう]
twitterのほうでも書いたけど実体験も手伝ってズシンとくる。
「またね」の約束は果たされないこともある。
だから俺は次にいつ会えるかはできるだけ、
具体的に聞くようにしてる。
「じゃあ、また明日。」は約束ではなく祈りの言葉。
[一つ、その場の空気を大切に
たまには嘘も必要です 言葉の真意を読みましょう]
すみません、苦手です。あ、でも嘘は得意です←
のちにすごく重要な意味を持つ一節。
ホントのことを言うことだけが正しいとは限らない。
[一つ、なにより家族を一番に
ホントの笑いは家族がくれます なによりそれを優先しましょう]
俺にとって大切な家族は今はあの場所にいる人たちです。
決して血をわけたアレなんかじゃなく。ええ。
[以上 俺らの出会いに感謝するなら 何があっても守ること!]
そう、彼らはこの教えを守りました。"何があっても"守りました。
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一人ひとつ、この家訓を読み上げていき、日常シーンへ。
【承 : 日常 - かけがえのない時間 -】
オバちゃんのところ行くか!
→気まずいからイヤだ
→女学生の中に好きな人がいる
そんなどこにでもある、当たり前の話。
彼らにとっては、貴重な宝物となった時間の話。
今となってはそれほど珍しくもない、
「男が料理をする」「女の子のほうから告白する」
というようなことが、当時はありえないことだった、
そんな時代背景を描きつつ、
アンジャッシュのコントのような勘違い・すれ違いをコミカルに。
[好きな人には左側にいてほしい] [ヒマワリの花が好き]
などキーワードを散りばめつつ、
ドタバタの末に「これ、貰ってください」とマキちゃんから草太へ、
お守りを渡したところで最初のシーンは一区切り。
これも物語の重要アイテム。
【転 : 上官の来訪】
物語が一気に転換する場面。
四兄弟の父親に世話になったという上官が登場する。渋い。
阿部寛とか平井堅みたいな感じの、
日本人離れした堀の深い顔に低音ボイス。渋い。
そんな渋いオジサマになんて役目を。
「カレーーーーラーーーーイスーーーー」
はさすがに笑ってしまった。
しかもこの上官、この後出てこないという無駄使い(褒めてる)
ひとしきり笑わせてからの、急転直下。
「明日の朝、出撃」が告げられる。
去り際の言葉が印象的だった。
「私たちが、なんの躊躇もなく出撃命令を下していると思うのか。」
きっと、何度も何度も、大切なものを失った者の口からでた言葉。
【結 : 命を未来へ】
セリフがなく、動きだけの四兄弟。
誰が何と言っているのかは、
見ている人のご想像にお任せします、かな?
ここは見る人によって違うだろうからあえては語りますまい。
大地は二本のひまわりをマキちゃんに渡す。
草太に渡してやってくれと。
花言葉は"ずっとあなたを見ています"。
愛する人を任せたぞ、弟よ。そういうシーン。
彼もまさしく漢であった。
結局、言葉で想いを伝えることはなかったけれど、
せめて左側に立ったマキちゃん。
時代背景をかんがえるとそれが精いっぱいで、
その想いは届いたことだろう。そう信じたい。
「最後に左側に居てくれたのが、貴女でよかった。」
おっと、忘れていた。少し時間を戻して、
オバちゃんがマキちゃんを焚き付けるシーン。
一つだけ引っかかった。
「想いはいつか消える。だから火種を絶やしてはいけない」
そうだろうか?
たしかに想いは薄れはする。
熱い想いも時間が経てば冷めることもある。
でも消えはしないと俺は思う。
普段は忘れているほど小さな火になっていても、
あるとき急に大きく燃え上がることもある。
消えるとしたら、その人が死ぬときか自ら断ち切った時だけ。
俺はそう思う。
しかしこのシーンと、
月兄ちゃんとのシーンのオバちゃんがホントにかっこいい。
ある意味真のヒロインなのでは(?)
トシをとってくると主人公達よりも、年長者のほうに共感しがちだと
ドラマの「美丘」を見てた時とかにふと思った。
そして年長者がカッコいい作品って、カッコいいと思う。
話を元に戻して、出撃前夜。
酒盛りをする四兄弟。彼らはそんなときにでも笑っている。
やせ我慢だろうけど。
そこで夢はない、と言っていた草太が夢を語る。
そしてこの皮肉な言葉
「俺たちのことが映画や舞台になるってことはな、
伝えたいことがあるってことになるんだよ。
俺たちがすることは"伝えたいこと"になっちゃいけない」
と、"舞台"で語るというこの皮肉。
演出の人はきっとものすごく性格が悪・・あ、加藤君か。
もとい。
カレーの人とは別の上官が登場し、酒盛りに参加する。
彼もまた父親にお世話になったということ、
二人の息子がいて、下の息子は行方が知れないということ。
そんな話をしていると長兄が言う。
「・・・息子さんですよ」
そこで明かされる事実。
四男・草太が行方不明になっていた息子であったと。
息子を死なせたくない親の想いと、
兄弟四人で最期を一緒に迎えたいという息子の想いが交錯する。
そんな中で、兄たちが言う。
「しらないガキが混ざっています。俺たちは元から三兄弟です!」と。
「こいつは不動草太ではなく、光二だ」と。
ここで登場するのが不動家家訓。
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[一つ、欲しがりません勝つまでは
つらいときには笑いましょう 笑顔が幸せ呼んでくれます]
明日の朝には死が確定している。だからこそ彼らは笑っていた。
[一つ、今この瞬間を大切に。
次の機会はもう来ません 迷わず前に進みましょう]
彼らに"次の機会"はもう来ない。迷っている時間など存在しない。
[一つ、その場の空気を大切に
たまには嘘も必要です 言葉の真意を読みましょう]
心にもない言葉、心が痛むであろう言葉。
必要な嘘。未来に託すために。
[一つ、なにより家族を一番に
ホントの笑いは家族がくれます なによりそれを優先しましょう]
ある意味、守れていないのでは?とも思う。
想いを託すための嘘。そのために、
[家族]であることを否定したのだから。
これもちょっとした皮肉。演出のひとはきっと(略)
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夜が明け、『三人』を見送る人たち。
ここで印象的だったのはユリの言葉。「こんなことして・・・」
恐らく、続く言葉は
「こんなことしてもなんの意味もないじゃない!」とか
「こんなことしてなんになるの!」とかそういう類の言葉。
でも、その先を言ってしまうときっと銃殺、そんな時代。
うずくまる草太と、特攻する三人。
ここで最初のシーンの違和感の正体が分かる。
「四兄弟のうち、死ぬのは3人だった」という仕掛け。
「不動"四"兄弟の力、見せてくれるわあああああ」と、
魔王あたりが言いそうなセリフで特攻するのだけれど、
ここが"四"になっているのもニクイところ。
爆発音のSEを使うとかそんな演出はせずに、
ただ、暗転。それだけ。
ーーーー と、いうことがあったんだーーーーー
草太の夢であった施設で、
子供たちを相手に不動四兄弟の話をするヒマワリ先生。
(ミキちゃんの子孫、という解釈でいいのかな?)
夢で望んだ施設の中で、
望まなかった形で物語の登場人物となった四人の話は、
そこで終幕。
【感想とか】
終演後、かおるちゃんか、
きんくぼちゃんあたりに面会行こうかとも思ったけど、
テンション的に「お疲れー」って言いに行く感じでもなかったし、
感情揺さぶられて少し疲れていたのでそのまま帰宅。
(その後、六本木でオールするのだけどそれはまた別のお話。)
前評判から、泣ける話だというのは見ていたけれど、
思っていた結末よりは絶望的ではなく、
「死」ではなく「未来に命を託す」
が主題の舞台であると見受けました。
KASSAIという小さめの劇場で、演者さんが近かったこともあり、
アツい舞台。ある意味では、
とてもスタンダードな話だったと思うけど、
見に行って良かった。大満足。