気絶した自分に何が起きたのか
私は、子供の頃に不思議な体験をしている。
あれは、小学校5~6年生の頃だろう
友達数人と近くの自然公園に自転車で出かけた。
その自然公園には、ちょっとした谷があり
自転車で、尾根から谷へ下り反対側の尾根へ上ると
ジャンプが楽しめる上に、
ちょっとしたジェットコースター気分が味わえる。
結構、急な谷になっているので少々勇気がいる。
友達とかわるがわる、その谷に自転車を走らせ
ジェットコースター気分を楽しんでいた。
しかし、谷の底は、前日に降った雨のため
若干ぬかるんでいた。
私の自転車の前輪が、そのぬかるみにハンドルを取られた。
そのまま、転倒し自転車のハンドルでみぞおちを強く打った。
経験のある方ならわかると思うが、みぞおちを打つと
息ができなくなり苦しくなる。
「苦しいよ~。苦しいよ~。」と私は発しながら意識が薄れていった。
後で友達に聞いても、そう言っていたと確認している。
「おい。雅人~。雅人~。(仮名です。)」と私を呼ぶ人がいる。
暗い闇が晴れてきて私を呼ぶ友達が、ぼんやりと私の目に映る。
慌てて返事をする。
「おい、お前大丈夫かよ~」と友達。
ふっと我に返り、今まで自分は何をしていたんだろうと思い返す。
自転車で転倒した事を思い出した。
体を見ると服が泥だらけだ。
思わず服の泥をはらう。
周囲を見渡した。
違う。ここは、転んだ現場ではない。
それも私は立って自転車を引いて歩いている。
現場から既に300mも400mも離れた場所だ。
友達に聞いた。
自分:「俺、転んだ後、どうしてた?」
友達:「すぐ起き上ったよ。」
自分:「なんか言ってた?どうやって、ここに来たの?」
友達:「大丈夫?って聞いたら、大丈夫って答えてたよ。
その後、みんなで、もう帰ろうって言って、ここまで来たんだよ。」
自分:「みんなで、俺の事、運んできてくれたの?」
友達:「いや、自分で歩いてきたじゃんかよ。おい、大丈夫か?」
この短い時間ではあるが、少なくとも10分、20分は意識のない状態。
その間、自分は、何に制御され行動していたのだろう。
人間、いや、生物としての本能か?
それとも別の何かか…。