お客さんと、上手く付き合うには
定食屋で昼食をとっていた時、客の中に、何となく見覚えのある人がいた。誰だったかな~?と考えていると、昔、常駐していたシステム会社に詰めていた客さんに、似ていると分かった。
「そう言えば、あのお客さん、今、どうしているんだろうな~。」
昔を思いおこした。
当時、私の初SEの仕事である。SEとは言っても、大きなプロジェクトを機能別に細かく分けた、本当に小さな2~3人のグループのリーダーであった程度で、大それたものではない。
そのプロジェクトは、昔、良くあった体系で、お客さん→元請さん→下請さんの体系を取っていた。下請さんの中にも上下があり、機能別、種類別、プログラム別とグループが分かれ、ピラミッド組織が出来上がっていた。その一番底辺の、それも、あまり重視されていない機能の小さなグループのリーダーを、私が担当していた。
プロジェクトが進行していくにおいて、要件や仕様確認など、元請さんに確認するのだが、私達が担当する機能は、あまり重視されていないため、元請さんも良く仕様を把握しておらず。
「分からない。今度、お客さんに確認しておくよ」
と回答である。最初のうちは、回答が返って来ていたが、忙しくなってくると、徐々に音沙汰なしの状態が続くようになってくる。何度か、督促するうちに
「ごめん、直接、お客さんに聞いてくれる?」
と回答が返ってきた。一番底辺の私が、お客さんに直接、お話を伺うなど、恐れ多いことで、お客さんとの最初のミーティングの時は、自分が何をしゃべっているのか、お客さんが何を言ったのか覚えていなく、どんな会議だったか議事録を後で読み返し内容を確認する有様であった。
しかし、お客さんも人間です。顔を突き合わせ、ミーティングを重ねていくうちに、互いに打ち解け合い。気の合う話で盛り上がり。気が付けば意気投合。お客さんからも、「飲みに行こう」くらいのお誘いがくる程に。
これは、私の失敗でしたでしょうか。
お客さんが、私を気に入っていただいたのは良かったのですが、おかげで、プロジェクト全体の仕様が、私達のグループ寄りに傾き、こちらが、提示する仕様を中心に回るため他のグループにしわ寄せが及んでしまいました。私たちとしては、当然、仕事は、やりやすく捗りましたけどね。
当然、面白くないのは、元請さん達です。自分達が、提示した仕様が、端から、ひっくり返されていくんですから。
突然、元請さんたちが詰める部屋に、私が呼び出され、
「お客さんと、仲良くしないでもらえる?」
「仕様確認やミーティング程度なら良いけど、仲良くしすぎ!」
と怒られた。お客さんも、私が元請さんに呼び出されて怒られたことを、どこかで知ったようで、私を呼び出し、
「○○たち(元請さん)の言うことなんか、聞く事ないぞ。あんな連中無視しろ!」
お客さんと元請さんとの間で、関係が徐々に不味くなってしまい。私としては、やむなく、お客さんに
「元請さんたちが、全体の仕様を決めていますので、それに従ってください。私は、いただいた仕様をプログラムに起こすだけですから。」
とお願いし、それ以降、お客さんとは、頻繁にミーティングを開かないように改めました。元請さんが悪者のような印象ですが、実際、誰が悪いとは、言い切れない事象です。私自身、結果的に、元請さんにも、お客さんにも、迷惑をかけてしまったような気がします。こんな似たような事が、時々、起きてしまい。その度に、反省しています。
私は、お客さんに気に入られベッタリになり、プライベートにまで付き合いが及ぶ事がよくあります。良い事だと思いますが、TPOを考えないと、この様な痛い目に会うことも・・・。
そんな事を思い出しながらの私の本日のランチタイムでした。