皆さん、こんにちは。

 

だいぶ久しぶりの更新になってしまいました。

今回は「映画鑑賞こぼれ話」。

昨年は大晦日の『ワンダーウーマン1984』で映画納めをしましたが、今年は元日から映画初めをしてきました。

まとめて紹介していきたいと思います。

 

1.燃えよデブゴン TOKYO MISSION

 

 

 

 

 

 

1月1日公開、初日初回の上映を鑑賞してきました。

『イップマン』シリーズのドニー・イェン主演、『るろうに剣心』シリーズで知られる谷垣健治監督の大型アクションエンターテインメント作品。

東京を舞台とし、竹中直人を筆頭に日本からも豪華俳優陣が軒を連ねる。

 

見事なまでに正月に相応しいおバカ映画でしたね。

特殊メイクでデブになったドニー・イェンが飛んで跳ねて敵を蹴り飛ばす痛快娯楽映画。

映画というものにこれ以上の要素が必要だろうか……?というぐらいアクションシーンがスピード感あふれるものでところどころ下らないギャグもあり、本当に楽しい1本でした。

特に驚いたのがアクションのために歌舞伎町や築地をセットで再現したということ。築地をフォークリフトで爆走しながらヤクザをぶちのめすドニーだの建物と建物の間を蹴って跳びあがるドニーだの強烈な場面を実現してみせてるのは素晴らしい。

一応本物の日本でも撮影した筈なのに物凄く雑な日本描写にも笑ってしまいました。

メインの悪役である丞威さんと渡辺哲さんらが繰り広げるよく分からないヤクザのお家騒動の下りは本気でこいつらアホだ……と確信するだけの絵面の強さがありましたし、バービーさんが演じてるAVはあれどういうジャンルなんだよととにかくツッコミどころだらけで突き進むジェットコースターぶり。

デブになるにあたって閑職送りでスナック菓子などをドカ食いするドニーの姿をわざわざエモーショナルに映す下りなど、とにかく見世物根性全開で楽しめた作品でした。

 

上映館がお近くにある方は是非劇場へ、そうでない方も配信やDVD等が出たら是非ご覧下さい。

 

2.新解釈三国志

 

 

 

『勇者ヨシヒコ』シリーズなどで有名な福田雄一監督最新作。

大泉洋、ムロツヨシ、橋本環奈、小栗旬など日本を代表する豪華キャスト陣が出演。

 

……いやあ、最高の映画を見た後にこれは頭に冷や水どころか小水ぶっかけられた気分ですね。

元々「面白いかもしれないじゃない!」と当たり屋根性で言った面もありますが、とにかく100分近い上映時間の全てが苦痛でした。

桃園の誓いから赤壁の戦いまで三国志のエピソードを再現、というよりはつまみ食いしてオムニバスコント集に仕立て上げる構成の雑さもさることながら、そのコントの内容がひたすら面白くない。

酒が入れば無敵の劉備(大泉洋)と、全部嫁さんのお膳立てで上手く行ってるアホな孔明(ムロツヨシ)というキャラ造形自体は最後まで観てみると意外と悪くもなかったかも……と思わされるのですが、「酒が入れば無敵」の部分が序盤台詞で説明されるだけでラストになるまで一切映像として出てこないとか諸々のキャラ立てが全然できていない。

 

何をやるかと言えばひたすら棒立ちでどうでもいい会話を続けるだけで、「BGMがかかってなんとなくシリアスな空気になる→キャラが勿体つけて話す→BGMが止まってギャグ言う」という福田作品によくあるこのお惚け演出がずっと繰り返される。

あまりに乱発されるので途中からこの演出が何回行われたかカウントし始めたのですが、途中からでも50回以上はやってました。

 

あと『銀魂』の頃から思ってましたが福田監督はとにかくアクションシーンが下手ですね……。

作品全体でも5分程度しかありませんでしたが、無駄にカメラがグラグラ動くわスローモーションは多用するわカット割りは細かいわで何やってるか全然分からないため見せ場にもなっていませんでした。

せっかくの岩田剛典が勿体ねえ……。

 

渡辺直美を連れてきて「時代考証的には美人です!」とか言うところが気にならないレベルで全てが酷く、まともな映画として扱う気にもなれません。

数十億ヒットしたようですが、「こんなのがヒットしたとして大泉洋も嬉しいのか?」という気持ちになりました。

 

3.スタント・ウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち

 

 

 

 

『ワイルド・スピード』シリーズのミシェル・ロドリゲスが製作総指揮を担当したドキュメンタリー作品。

ハリウッド映画の危険なスタントに身を投じる女性たちの活躍、男性社会での苦闘の歴史などを実際のスタントウーマン達の証言を基に描く。

 

ドキュメンタリーということでなかなか小品チックなところがありますが、ガールズエンパワメントという文脈を一旦抜いてもスタント業界で働く人たちの姿が見られるというのはかなり貴重な映像だったと思います。

特にTVドラマ版『ワンダーウーマン』のメイキング映像なんかは本当に貴重なものだったのではないでしょうか。

同時に男性社会だった映像業界の中での「衣装の都合でパッドが入れられない(衝撃が防げない)」といった、まさしく女性ならではの苦労も滲み出ているのが面白いところ。

判断ミスで死んでしまう人も(これは恐らく男女問わずですが)いるという決して華やかではない裏舞台の話に出演者が涙する一幕もあり、いたたまれない気分にさえなってくるのはそれが本心からの涙だったからだと思います。

 

上映時間も短め、通常のエンタメ作品のような緩急もあまり無いためちょっと中弛みに感じる部分もどうしても生じていましたが、資料として非常にいい映画になっていました。

 

4.キング・オブ・シーヴス

 

 

本年87歳のベテラン俳優、マイケル・ケイン主演映画。

平均年齢60歳以上の泥棒軍団がロンドンの宝石街で起こした実際の窃盗事件を基にした映画。

ドキュメンタリーや伝記映画を多く手掛けてきたジェームズ・マーシュ監督作。

 

『ダークナイト』など近年のクリストファー・ノーラン作品には必ず登場するマイケル・ケイン主演というワードが引っ掛かり鑑賞した次第ですが、なかなか残念な出来でした……。

とにかく盛り上がりどころが非常に少なく、淡々とした作り。

基になったのが実際の事件にしてもあまりにもドラマチックさに欠ける展開の数々で、最初のワクワク感からどんどん期待外れな方向に突き進んでいく。

ドキュメンタリーらしい画調と言えばそうなんですが肝心の盗みのシークエンスにも緊迫感が無く、見てると気が抜けてくる感じさえしてきました。

一番盛り上がるのは老人軍団の中で唯一の若手が実は~という下りなのですが、視点はあくまで老人側にあるのでそれも中盤でフェードアウトしてあまり燃え切らず……というなんとも言えない作品でした。

良いところを探す方がちょっと難しいくらいです。

 

5.銀魂 THE FINAL

 

 

長きにわたって終わると見せかけて終わらない「終わる終わる詐欺」を繰り返してきた『銀魂』本当の完結篇をアニメ映画化。

坂田銀時を主人公とする一連の物語に終止符が打たれる。

 

実は「銀魂」のアニメ映画を観るのはこれが初めてで、TVシリーズも終盤はかなり中弛みしていて見ていなかったのですがそんな状態で観ても十分楽しめる最高のエンターテインメント作品でした。

最早定番と化した「ドラゴンボール」風の回想も導入として分かりやすく機能している上、本筋はしっかりシリアス。

「アベンジャーズ/エンドゲーム」ばりに歴代キャラがアッセンブルするシーンはしっかり盛り上げつつも、あくまで銀時・高杉・松陽に焦点を絞った形でドラマが描かれているため話が散漫にならず、本当に長かった「銀魂」、そして坂田銀時の物語を終わらせてくれた正統派の完結篇であったことに「ありがとう……ありがとう……」と感謝したくなる出来でした。

ギャグは少なめかと思いきや、シリアスなところはきっちり終わらせたその上でいつものバカ騒ぎをやってくれるのも「銀魂」らしい後腐れの無さで気持ちよかった。

エンドクレジット後のアレは「やりすぎだろ!w」と思いましたが、締めるところは締めるというのを作り手たちが本当に分かってるので大いに笑って帰りました(この辺の感覚は『デッドプール2』が意外と近いかもしれませんね)。

 

こうして振り返ると『新解釈三国志』にもこの精神を1mmでも見習ってほしい気持ちが煮えたぎってきますね……。

 

 

……はい、以上が「映画鑑賞こぼれ話」1月号でした。

ちょっと最近個別記事が書けていませんが、まあのびのびと映画を観つつ書ける時に記事を書いていきたいと思います。

 

それでは今回はここまで。

お相手は、たいらーでした。