シャルナーク | ねずみ。

ねずみ。

HUNTER X HUNTER



泣いていたら、うさぎのぬいぐるみがわたしの涙をぬぐったの。



もう笑わないで。偽りの笑顔なんて要らない。あのときの優しさは本物だと信じ続けているわたしを、きみは冷たく突き放したけれど。そうやって笑うきみを見るのが、いちばん傷つくから。

いつのまに愛想笑いなんて覚えたの。出会った頃はめったに笑わなかったのに。いつのまに、そんなふうに笑うようになったの。



泣いていたら、うさぎのぬいぐるみがわたしの涙をぬぐったの。泣かないで、って。きみが、困ったように笑いながら。あのとき、きみの操るうさぎのぬいぐるみが、どれほど温かかったことでしょう。



ああ、そうか。わたしが、泣いたから。わたしが泣いたから、きみは代わりに笑うように。

そうか。そうかあ。きみから本当を奪ったのは、わたしだったんだ。



オレは優しくなんてないよ。ばいばい。これ、あげる。



そう言って、きみがわたしに投げつけたうさぎのぬいぐるみが、泣いていました。

そうね、ばいばい。わたしは、うさぎのぬいぐるみを抱きしめて、今日もきみのことを思い出している。