泣いていたら、うさぎのぬいぐるみがわたしの涙をぬぐったの。
もう笑わないで。偽りの笑顔なんて要らない。あのときの優しさは本物だと信じ続けているわたしを、きみは冷たく突き放したけれど。そうやって笑うきみを見るのが、いちばん傷つくから。
いつのまに愛想笑いなんて覚えたの。出会った頃はめったに笑わなかったのに。いつのまに、そんなふうに笑うようになったの。
泣いていたら、うさぎのぬいぐるみがわたしの涙をぬぐったの。泣かないで、って。きみが、困ったように笑いながら。あのとき、きみの操るうさぎのぬいぐるみが、どれほど温かかったことでしょう。
ああ、そうか。わたしが、泣いたから。わたしが泣いたから、きみは代わりに笑うように。
そうか。そうかあ。きみから本当を奪ったのは、わたしだったんだ。
オレは優しくなんてないよ。ばいばい。これ、あげる。
そう言って、きみがわたしに投げつけたうさぎのぬいぐるみが、泣いていました。
そうね、ばいばい。わたしは、うさぎのぬいぐるみを抱きしめて、今日もきみのことを思い出している。