大事なものなんてない。そう言ったときのあなたの目、どれほど寂しそうだったかあなたは知らないでしょう。一緒に星を見たね。夜がいちばん好きだって言ったね。星を見られるから。星を、きれいだと思うからって。
あなたがそう言ったとき、なぜだか、わたしは泣きそうになったのよ。
ゴミばかりが広がる街で、星だけがきれいだった。あなたにもそれが分かったの。それが嬉しかったの。
お金も食べ物も洋服も、命さえ。あなたは誰からだって奪えてしまう。そうでしか生きられなかった。善悪の概念もなく。
ああ、会いたいな。
いまでも星を見ているでしょうか。あなたは何がほしいの?あなたが今いる場所にいれば、いつかは手に入るの?
大事なものなんてない。だから、ここで別れるね。
そう言ったときのあなたの目が、どれほど揺れていたか。知らないでしょう。あなたは知らないでしょう。
星は、手に入らないのよ。知らないでしょう。あなたは、わたしが大事だったんでしょう。