先日、財布を無くしたものの、
現金以外は無事に戻って来たモーリスです。
日頃の行いが良いのか悪いのか微妙な線ですね。

まあ、良いという事にしておきましょう。

なお、今回は5万円ほどの「授業料」となりましたが、その分、色々と学びました。

お金を失った時に残されたものが大切だなとも思いました。

これはウェルスダイナミクスが定める富の定義と同じですね。

あなたは持っているお金を全て失った時に何が残りますか?


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●モンティ・ホール問題 (モーリス)
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あなたはモンティ・ホール問題について聞いた事があるでしょうか?

ご存じない方の為に、お約束のウィキペディアから該当箇所をコピペしましょう。

"モンティ・ホール問題は、モンティ・ホール がホストを務めるアメリカの
ゲームショー番組「Let's make a deal」の中で行われたあるゲームに由
来する、次のような確率の問題である。
この問題は「直感で正しいと思える解答と、論理的に正しい解答が異なる問題」
の適例とされる。

「プレイヤーの前に3つのドアがあって、1つのドアの後ろには賞品の新車が、
2つのドアの後ろにはヤギ(はずれを意味する)がいる。プレイヤーは新車のド
アを当てると新車がもらえる。プレイヤーが1つのドアを選択した後、モンティ
が残りのドアのうちヤギがいるドアを開けてヤギを見せる。
ここでプレイヤーは最初に選んだドアを、残っている開けられていないドアに
変更しても良いと言われる。プレイヤーはドアを変更すべきだろうか?」

1990年、ニュース雑誌の"Parade magazine" のコラムニスト、マリリン・
ボス・サバントが読者の質問に「正解は『ドアを変更する』である。なぜなら、
ドアを変更した場合には賞品を当てる確率が2倍になるからだ」と回答したと
ころ、読者から「彼女の解答は間違っている」との約一万通の投書が殺到した。
投書には千人近い博士号保持者からのものも含まれていた。"

なお、「マリリンって誰よ?」と思った方の為に一言付け加えると、彼女はギネス記録
が認定する世界で最もIQの高い人物です。

♪マリ~リ~ン!
腰をクネクネ振っている女性ではありません。
はい。
30台前半より若い方はピンと来ませんね。

で、この問題のどこか問題かというと、一般的にはこんな説明が妥当でしょうか。

「上記の通り、いえ、ウィキペディアには書いてありませんが、実際には、世界的な数学者である
ポール・エルデシュを始め、名だたる人々を含む、いわば全米がマリリンを非難したのですが、
正解はマリリンの方だったのでした!人の感覚は当てになりませんね!」

ところが、この問題は、実はもっと深い問題を呼び起こすのです。

私は人生で3回ほど、自分は真の天才だと思った事があります。

モンティ・ホール問題もその1つ。

一瞬(ホントに1秒かからない)で正解を見抜いただけではなく、ウィキペディアの解説の
過ちも一度読んだだけで気づきました。

ウィキペディアの編集者さん、あなたはアメリカ人と同じくらいの過ちを犯しています!
そう、ウィキペディアの解説は決定的な過ちを犯しています!
というか、かなり初歩的な過ちです。

さあ、「マリリンの指摘が完全には正しい訳ではない」と主張するウィキペディア解説者の
どこに間違いがあるでしょうか?

ちなみに、この問題はマリリンの指摘が「正しい」ことが既に知られています。

それにもかかわらず今なお同じ過ちを繰り返す人が公然と現れるモンティ・ホール問題は
実に多くの気付きを与えてくれます。

あなたが絶対に正しいと信じている事は本当に正しいのでしょうかね?

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●コントロールの原則(モーリス)
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さて、多くの人が勘違いしている別の例をもう1つあげましょう。

それは「自分の実力について」です。

コーチの職業上、私は人の可能性について考えさせられる機会が多いのですが、その時に
実に多くの人は自分の能力を正当に評価出来ていないと感じます。

そして、多くの人が「自分の実力を過小評価している」ことに気づきます。

勿論、かなり「オーバーエスティメイトな方」も見かけます。
しかし多くの方はアンダーエスティメイトといえます。

では、なぜこのような自体が起こるのでしょうか?

原因は色々とあるのでしょうが、小さな時からの「ダメな子体験」が本人にそのような
意識を植え付けているのかも知れません。

この評価は、小さい頃は親や先生から一方的に押し付けられることが多いようです。
その結果、大人になった後も、この呪縛から逃れられずに、自らをダメな子だと思って
しまう傾向にあるようです。

厄介な事に、顕在意識ではなく、潜在意識に刷り込まれています。
それが様々な場面で表面化します。

では、大人になった後に、どのような場面でこの勘違いが起こってしまうのでしょうか?
その1つが自らが決めた目標を超える事が出来ずに、自分を責めている場面で起こります。

人はコントロール可能な状況を好みます。
生存確率さえ変わってきます。

コントロール心理学の先駆者、エレン・ランガーなどの研究によれば、身の回りの事を
自身でコントロール出来る機会を与えられた老人と与えられなかった老人では、同じ
施設に居ながら倍もの生存確率の開きができたそうです。勿論、コントロール可能な
方のグループの生存確率が高いのです。

人はコントロールされるよりも、コントロールする事を本能的に好みます。
これをコントロールの原則と言います。

ところが、この実験と違い、私たちの生活の中では、あまりにもコントロール可能な
ことが多すぎる結果、何をコントロールすれば良いのかを見誤るのです。

例えば、セールスマンは「今月の売り上げ目標1000万円!」などの目標を立てます。
これが落とし穴です。

売り上げは、お客様が介在するのでコントロール不可能(影響は可能)です。
たまたま達成出来る月もあるでしょうが、できない月も出てきます。
その時点でセルフイメージが下がります。

ただし、目標達成の確率を上げるように自らの行動を変える事はある部分において可能でしょう。

上記は、正しくは「売り上げ1000万円を達成する為に、毎日、これこれを実行する!」
というような目標を掲げることで「コントロール可能な今月の目標」となります。

コントロール不可能な目標を掲げた結果、周りの不確実な要素の餌食となって自らを
ダメな子と感じてしまうのはとても勿体ない話です。

自己完結するコントロール可能な行動の積み重ねにフォーカスしましょう。

ところが、こういうと、多くの人は非常に低い行動レベルにフォーカスが行きます。
無意識がそうさせるのです。

その結果、行動レベルが下がって、やはり低い結果しか残せないひとが出てきます。

つまり、潜在意識が変わらない限り、何をやっても自分をダメな子と感じてしまう結果を招きます。

これが最初にのべた自分の評価を下げてしまう主たる要因です。

もし、このパターンから抜け出したい方がいらっしゃればコーチを付けるのも1つの手でしょう。
もしくは、目標設定セミナーに参加するのも1つの手です。

4月24日に私が行うセミナー も若干名の空きがあります。
よろしければご参加ください。
コントロール可能な高い目標にフォーカスする術を学べます。

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●なんちゃって心理学 vol.8 確証バイアス(モーリス)
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話を戻しましょう。
先ほどのモンティ・ホールの問題はなぜ起こるのか?

それは、きっとこの問題が「確率の問題」だからではないでしょうか。

確率と統計学が専門のハーバード大学の教授の言葉を借り得れば、
「我々の脳は確率問題をやるには、あまりうまく配線されていない」
からでしょう。

あまり知られていませんが、私は学生時代に数学を学んでいたことになっています。

しかも、数学界のノーベル賞と言われるフィールズ賞受賞者を輩出する、数学界の
名門の出身である事は、芸能人の年齢詐称や整形疑惑と同じくらいに触れてはいけ
ないこととして闇に葬られてきました。

しかし、世界的な数学者さえ、モンティ・ホール問題では引っかかったのです。

つまり私との差を分けたのは数学の能力ではなさそうですね。

では、何がこの差を分けたのか?

恐らくその1つの答えが「確証バイアス」ではないでしょうか。

確証バイアスとは、ある仮説を確かめる際に自分が抱いた先入観や信念を肯定的に
証明する情報を重んじて追求するあまり、これに反するような情報は軽んじたり、
黙殺したりする傾向をあらわす心理学用語です。

要するに、自分が何かを思った時に、人はその考えが間違いであることを証明する
方法を探るのではなく、それが正しい事を証明しようと間違った判断を繰り返すのです。

例えば、感情のコントロールが苦手な先生が居たとしましょう。

彼は、怒る事で生徒の行いが正される(もしくは成績があがる)と主張するでしょう。
簡単な話です。
自分を正当化したいだけです。

世界中を探しても、叱りつける方が教育上に効果的であるという確かなデータは
存在していないと言われています。
もしも、確からしい研究レポートをご存知ならご指摘ください。
きっとどこにも無いはずです。

しかし、その先生は、自らの経験上「この行為は正しい」と言い張るでしょう。

彼に言わせれば、

1)良くできる子を誉めると、そいつは必ず気を緩めて次回は悪い点数を取る
2)悪い子をしかると、次回はちゃんといい点を取る

ことが起こるそうです。

それは正確にどの程度の確率で起こるのでしょうか?
本当に毎回起こりますか?

人間の行為やその結果には一定の揺らぎがあるので、ある回に自分の能力以上の点数
を取ってしまった子は、一定の確率で次回は能力以下の点を取る可能性があります。
逆もまたしかり。

それらの確率的な揺らぎの中、自分に都合がよいデータだけが頭の中に残って、
あたかも統計データかのうような錯覚を起こし、自分の主張が正しいという確信を
強めて行くのです。

これが確証バイアスのなせるわざ。

そして「この自分が正しいと感じる主張」も、何らかの確率で偶発的に抱いてしまった
可能性が高いのです。

先のモンティ・ホール問題もしかり。

私が一瞬で答えを当てられたのは、実は私の頭が良かったのではなく、恐らくたまたま
偶然起こった出来事なのです。

私は偶然に正解をひらめき、その直感が正しい証明をたまたま短時間で探し出す事に
成功したのでしょう。

数学者は、たまたま直感が外れた後に、その直感を支持する証明を探し求めてしまっ
たのでしょう。

それが両者の差を分けたのかも知れません。

と、ここまで読んで「そうか~。人はたまたま起こっている事から自分の都合がよい
データだけを取り出して、自分の考え方が正しい事を証明したがっているのだな」
と思った方へ。

あなたは騙されているのかも知れません。

今回のモーリス通信は全て私のバイアスがかかった後の説明(情報)です。

自分の論理展開に不都合な事実は省かれてしまっているのです!
意図的にそんな風にはしていないつもりなのですが、きっとそうなってしまっています!

これぞまさしく確証バイアスのマジック。

パラドックスにも似て、奥が深いですね。

まずは1日1つ、常識を疑ってみるのも良いのでは?

ところであなたは誰ですか?